DTPデザインとは、主に書籍やポスター、チラシ、パンフレットなどの紙媒体を対象とするデザインのことを指します。レイアウト専用ソフトを使用し、文字データと写真やイラストなどの画像データを組み合わせ、デザインを仕上げていきます。
DTPデザイン制作において専用ソフトの操作スキルが必要になることはもちろん、特に重要になるのが「色」に関する知識です。
今回は、DTPデザインの初心者の方向けに、色の基礎知識や入稿時の注意点などをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
色の基礎知識
DTPデザイン制作を行うには、色についての知識が必要です。まずは、DTPデザインの場でよく耳にする「RGBカラー」と「CMYKカラー」について見てみましょう。
RGBカラーとは?
パソコンのモニターをはじめ、デジカメやスキャナーなどでは「光の三原色」と呼ばれる、R(レッド)・G(グリーン)・B(ブルー)の3色のかけ合わせで色が表現されています。
R、G、Bの3色を混ぜれば混ぜるほど明度が上がり、全ての色が重なる部分は「白」になるという「加法混色」という色の表現法です。
RGBカラーはデジタルの画面上での発色表現法となるため、基本的に印刷の際は使用しません。
CMYKカラーとは?
一般的なチラシやポスターなどのフルカラー印刷では「色の三原色」と呼ばれる、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)に、K(キープレート)の4色をかけ合わせが使われます。K(キープレート)とは黒(ブラック)のことです。
C、M、Yの3色を混ぜれば混ぜるほど明度が下がり、全ての色が重なる部分は「黒」に近づく「減法混色」という色の表現法です。CMYの3色を混ぜた時の黒は純粋な黒ではないため、3色にK(ブラック)を加えて、CMYKという4色で全てのカラーを表現します。
DTPデザインには、RGBやCMYKといった色の特徴を把握する必要があります。
入稿時に気をつけたい「色」のポイント
デザインが出来上がって印刷用の入稿データを作成する際、注意したいポイントがいくつかあります。印刷物を想定している色で仕上げるためにも、これからご紹介する3点は必ず確認するようにしましょう。
【1】印刷用データは必ずCMYKカラーに変換する
RGBとCMYKでは色の領域が異なり、CMYKカラーの方が表現できる色が少ないです。このため、RGBでしか表現できない色彩でデザインすると、CMYKで印刷した際に印刷物の色がくすんでしまう恐れがあります。
特色印刷で対応することもできますが、コストや手間がかかります。あらかじめ特色対応になってもよいか確認しておくと安心です。
【2】「黒」の使い方に注意する
基本的に、印刷で表現される黒には「スミベタ」「リッチブラック」「4色ベタ」と呼ばれる3つの種類があり、それぞれの特徴が異なります。
スミベタとは、C(0%)・M(0%)・Y(0%)・K(100%)、すなわち黒インク100%のみで表現される黒のことです。
PCの画面と印刷した際の黒の差がほぼないのが特徴で、細かい文字や細い線などの印刷に適しています。
リッチブラックとは、CMYK4色をかけ合わせて作成される黒のことです
CMYKの推奨比率は、C(40%)・M(40%)・Y(40%)・K(100%)となり、深みのあるなめらかな印象の黒を表現できる反面、細かいオブジェクトの印刷では「見当ズレ」と呼ばれる境界線のブレが出やすいというデメリットがあります。
4色ベタとは、CMYK4色の濃度を全て100%で作成した黒のことです。
リッチブラックよりもさらに深く濃い黒に仕上がりますが、インクを大量に使用するため、印刷には適していません。
一般的に、CMYKのインク量が合計360%を超えていると「印刷には適さない」と判断されます。この場合、印刷時に自動的に濃度調整が行われてしまうことがあります。
濃度調整が行われると黒以外の色にも影響する可能性があるため、黒の使い方には十分に注意するようにしましょう。
【3】色が転ぶのを避ける
CMYKカラーには表現が不得意な色があり、特に黒(K)を使用せずCMYのみで色を表現する場合は色が転びやすいといわれています。中でも濃度が高い色や、こげ茶系、グレー系の色味を使用する際は注意が必要です。
CMYKカラーでの印刷はKを混ぜることで色味が安定しやすくなるため、それらの色を使用する際はCMYのみで作成せず、必ずKを混ぜるようにしましょう。
まとめ
今回は、DTPデザインをこれから始めたいという初心者の方向けに、色の基礎知識や入稿時の注意点をご紹介しました。DTPデザインを行ううえで、色についての知識は不可欠です。PCで制作した色(自分がイメージしている色)と印刷物の仕上がりに差異が出ることのないよう、CMYKとRGBの違いや黒の使い方などの基礎知識はしっかりと身に付けておきましょう。