映像や広告の分野が好きな人なら一度は「モーショングラフィックス」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。本稿では、モーショングラフィックスとはどのようなものを指すのか、実際の映像の世界ではどのように活用されているのか、モーショングラフィックスの作成にはどのような流れがあるのかなどをまとめて解説したいと思います。これから映像制作を学ぶ人の参考になれば幸いです。
モーショングラフィックスとは一体何?
モーショングラフィックスは、テキスト、イメージ、アニメーションなどの要素を組み合わせて、動画やアニメーションを制作するデザイン分野の一つです。視覚的な要素を駆使して情報やストーリーを伝える手法であり、映像を通じて効果的なコミュニケーションを実現するためのツールとして広く利用されています。
AppleやGoogleの新商品プレゼンテーションなどでは効果的にモーショングラフィックスが使用されています。
モーショングラフィックスを使用するメリットとは?
メリット1: ダイナミックな表現
モーショングラフィックスは動きやアニメーションを活用することで、情報やアイデアをよりダイナミックに伝えることができます。視聴者の注意を引きつけ、テキストや文章で伝えるよりもメッセージを効果的に伝えることができます。
メリット2: 視覚的な強調
グラフィックやアニメーションを使って重要なポイントを強調することができます。視聴者の注目を集めるために、効果的なアニメーションやエフェクトを組み込むことができます。
メリット3: 簡潔な伝達
複雑なコンセプトやデータも、視覚的に整理して簡潔に伝えることが可能です。アニメーションやグラフィックを使って情報を分かりやすく整理し、視聴者にわかりやすく伝えることができます。パワーポイントなどでプレゼンするよりもはるかにイメージしやすいこともあります。
メリット4: ブランドアイデンティティの構築
モーショングラフィックスはブランドのアイデンティティを表現する手段としても活用されます。一貫したデザインやアニメーションを通じて、ブランドのイメージを視聴者に強く印象づけることができます。ブランドカラーや、会社が伝えたいイメージを感覚的に伝えることができます。
モーショングラフィックスの身近な活用事例
事例1: インフォグラフィックス
複雑なデータや統計を視覚的にわかりやすく表現する際に、モーショングラフィックスが活用されます。グラフやアニメーションを通じて情報を整理し、視聴者に分かりやすく伝えます。
たとえば行政の状況を伝えたり、企業の成長や数値的な紹介をビジュアルでわかりやすく伝えたりするのに便利です。
事例2: タイトルアニメーション
映画やテレビ番組のオープニングタイトルやエンディングクレジットにおいて、文字やロゴのアニメーションを使用して視聴者の興味を引きます。
事例3: ソーシャルメディア広告
SNS上での広告やコンテンツ制作において、短い時間内に効果的なメッセージを伝えるためにモーショングラフィックスが使用されます。目を引くアニメーションやキャッチコピーで注目を集めます。
事例4: プレゼンテーション
プレゼンテーションやビジネスコミュニケーションにおいて、アイデアやコンセプトを魅力的に伝えるためにモーショングラフィックスが活用されます。視聴者の興味を引き、メッセージを効果的に伝えます。
事例5: 教育コンテンツ
教育分野においては、モーショングラフィックスを使って複雑な概念やプロセスを視覚的に説明するための教材が制作されています。アニメーションを通じて理解を深めることができます。
モーショングラフィックスの作成の流れをご紹介
1:目的・ねらいの決定
まずはモーショングラフィックスの制作目的や伝えたいメッセージを明確にします。何を伝えたいのか、どのような効果を期待するのかを考えましょう。クライアントの声や、エンドユーザー(視聴者)にどのように感じてほしいかを考えた上で方向性を明確化していきましょう。
2:ストーリー・構成の作成
ストーリーボードを作成して、各シーンの流れやアニメーションをプランニングします。視聴者が理解しやすいようなシンプルなストーリーを組み立てましょう。ここの脚本やストーリーの設計が全体の方向性を決めるので、後で修正が生まれないようにしっかり構成案を練って、各ステークホルダーとすり合わせておきましょう。
3:デザイン・テイストの決定
デザインやテイストを決定し、視覚的な要素を統一します。ブランドのカラーやフォント、アニメーションのスタイルなどを検討しましょう。全体の統一感を意識したデザインを心がけましょう。
4:素材・テンプレートの用意
必要なグラフィックや素材、アニメーションテンプレートを用意します。自作の素材を使用するパターンもあれば、フリー素材やテンプレートを活用したり、両者をミックスして作成したりするパターンもあります。
5:ソフトを使用して動画編集
選んだソフトウェアやアプリを使用して、グラフィックやアニメーションを組み合わせて動画を制作します。アニメーションのタイミングやエフェクトの追加に注意を払いましょう。BGMと各種エフェクトや切り替えのタイミングはしっかりと合わせるようにしましょう。
モーショングラフィックスを作成する際のコツはある?
モーショングラフィックスを作成する際に役立つコツをいくつかご紹介します。
- シンプルなデザイン: 複雑すぎずシンプルなデザインを心掛けることで、視聴者がメッセージを理解しやすくなります。足し算というよりは引き算のデザインを意識しましょう。
- タイミングとリズム: アニメーションのタイミングやリズムに注意を払い、視聴者の興味を引く効果的な動きを作りましょう。
- 一貫性の保持: ブランドのアイデンティティやデザイン要素を一貫して保つことで、統一感のある映像を制作できます。
- ストーリーテリング: シンプルなストーリーを組み立て、視聴者がメッセージを追いやすいように工夫しましょう。
- 視聴者の視点: 視聴者がどのように映像を見るかを考慮し、効果的な映像を制作するためのアングルやカメラワークを検討しましょう。
モーショングラフィックスの作成に向いている人
モーショングラフィックスの作成には、以下のような人々が向いています。
- デザイナー: グラフィックデザインやアニメーション制作のスキルを持つ人は、モーショングラフィックスを効果的に制作できるでしょう。
- 映像クリエイター: 映像制作に携わる人々は、映像の編集やアニメーション制作においてモーショングラフィックスを活用できます。
- マーケター: プロモーションや広告において、視聴者の注意を引くためにモーショングラフィックスを活用することがあります。
職種にとらわれない書き方をしますと、細かい長時間の作業が苦ではない方や、資料制作が好きな方、自分のアウトプットによって人が喜ぶのが好きな方、映像を見るのが好きな方、創作意欲が強い方などなど。モーショングラフィックスは決して簡単につくれるものではありませんが、その情報の伝わりやすさから、制作できることでビジネスやクリエイティブの領域において重宝される技術といえるでしょう。
モーショングラフィックスを作るためのソフト・フリー素材おすすめ6選
ソフト・フリー素材1: Adobe After Effects
Adobe社提供するモーショングラフィックス制作に優れたソフトウェア。アニメーションやエフェクトを組み合わせてクリエイティブな映像を作成できます。モーショングラフィックスだけでなく多様なエフェクトやテンプレートを活かして、映像制作の現場では欠かせないソフトとなっています。After Effectsが使えると映像業界の転職活動などでも有利に働くのは間違いないでしょう。
After Effectsとは?基本的な使い方やおすすめのプラグインを解説!
ソフト・フリー素材2: Blender
オープンソースの3D制作ソフトウェア。モーショングラフィックスに立体的な要素を加えたい場合に適しています。
ソフト・フリー素材3:AviUtl
1997年にWindows向けに開発され、拡張性の高さとシンプルなインターフェイスが特徴です。プラグインの拡張には慣れが必要ですが、歴史があるソフトのためWeb上にも情報が多くあり、無料でも広く活用できるソフトです。
ソフト・フリー素材4:動画AC
高品質な映像が無料で提供されているウェブサイト。加工や商用利用もでき、4K画質のものも扱っています。
ソフト・フリー素材5: Unsplash
フリーの写真素材を提供するサイト。自分の映像に組み込んで使用することができます。
ソフト・フリー素材6:Pixabay
フリーの映像素材、画像素材を無料提供するウェブサイト。海外のおしゃれな素材を探している方にはおすすめです。
モーショングラフィックスを本格的に学ぶなら”デジハリ・オンラインスクール”
これからモーショングラフィックスのような動画制作を学びたい方におすすめなのがスクールでの学習です。独学で学習することで費用を抑えたいという方も多いかもしれませんが、独学の場合はフィードバックを受けにくかったり、質問や疑問がある際にも相談がしにくくく悩んでしまったりというデメリットもあります。
しかし、スクールの場合は通学が大変だったり、地方在住で近くに学校がなかったりするという声もあるでしょう。そこでおすすめなのが、オンラインスクールです。
デジハリ・オンラインスクールでは、「学びやすさ」に強みを持ったCG制作コースを提供しています。「オンラインスクールはいろいろありすぎて、信頼できるスクールがどれなのかわからない」という感想を持っている方もいるのではないでしょうか。デジハリ・オンラインスクールは、1994年の創業以来多くのクリエイターを輩出してきた、デジタルハリウッドが運営する講座です。オンラインならではの、好きなときに好きな場所で学習できるスタイルが魅力。ぜひ専門知識とスキルを習得して、プロのクリエイターを目指しましょう。
まとめ
モーショングラフィックスは視覚的な要素を活用して情報やストーリーを伝える手法であり、多様な分野で活用されています。メリットや活用事例、作成の流れ、コツ、おすすめのソフト・フリー素材などを通じて、クリエイティブな映像制作を楽しんでみましょう。これから映像制作を学んでいきたい方、ぜひ自分ならではの魅力的な映像を生み出すべく、継続的に学習してみてはいかがでしょうか。