グラフィックデザイナーの使命はクライアントの意向に沿ったデザインをすることです。
グラフィックデザイナーはクリエイティブで華々しい職業というイメージが先行しがちですが、最終的なデザインが完成するまでにはクライアントとの打ち合わせから始まり、素材集め、デザイン、納品までさまざまな工程を経ています。それでは、グラフィックデザイナーの仕事内容と活躍の場、年収、おすすめの資格などについて見てみましょう。
👍こんな人のためにまとめています
・これから就職や転職でグラフィックデザイナーになりたい人
・グラフィックデザイナーの働き方について情報収集したい人
「いつかはグラフィックデザイナーになりたい」と思っている方は、一度こちらをチェックしてみてください。
グラフィックデザイナーとは
複数の仕事を抱えながら納期に間に合うようにスケジュール管理を行う能力、クライアントが求めているものをしっかりと聞き出すヒアリング能力が求められます。
大変さはありますが、自分が手掛けたデザインを世の中に送り出すことにやりがいを感じる方が多いようです。
Webやアプリなどのデジタルでのデザインは手元に残らなかったり、スマホやPCなどの小さい画面で表示されることがほとんどですが、ポスターや看板広告などの大きな媒体でも掲載される可能性があるのもグラフィックデザイナーの魅力かもしれませんね。
グラフィックデザイナーはグラフィックアート系の仕事と混同されることもありますが、アートというセンスを表現する領域とは異なり、デザインはクライアントの課題解決をする仕事なので、そこは間違えないようにしましょう。
グラフィックデザイナーの仕事の流れ
次は、写真やイラストなどのデザイン素材集めです。チームで仕事を進める場合、写真はカメラマン、イラストはイラストレーターに依頼する場合もあります。
続いて、集めた素材に色や文字による加工を行い、平面上にレイアウトしていきます。クオリティを高めるためのポイントは、クライアントのテーマやコンセプトが盛り込まれているか意識し、完成形をイメージしながらデザインすることです。
仕上がった作品はクライアントに見せてチェックしてもらいます。修正指示を受けた場合はクライアントの指摘をもとにデザインを修正します。クライアントからの承認を得られたら、デザインを印刷会社に納品して完了です。
企業に所属するインハウスデザイナーであれば、この「クライアント」が社内担当者になることが多いです。
このあたりの仕事の流れは他のデザイナー系職種でも共通していますね。
【活躍の場】フリーランスとして活躍するデザイナーも
グラフィックデザイナーの活躍の場はさまざまですが、会社員として働く場合は主に広告代理店、広告制作会社、メーカーの広告宣伝部で勤務することとなります。会社員として経験を積んだデザイナーはフリーランスとして独立する道もあります。
各ケースについてグラフィックデザイナーの活躍の場を詳しく見てみましょう。
広告代理店
広告代理店は新聞や雑誌などのメディアに広告枠を持ち、広告を出したいメーカーなどに枠を提供して手数料を得る会社です。かつては広告制作会社へ制作を依頼し、企画や制作指揮をとる業務が主でしたが、現在では制作部門を抱える広告代理店が増えています。
広告制作会社
広告制作会社は広告代理店のグループ会社、デザイン事務所、制作プロダクションなどに細分化されます。広告代理店やメーカーから依頼を受けて広告の企画・制作を行います。デザインを手掛けるチャンスが多く、常にセンスや技術を磨くことができるため、やりがいを感じられることが多いでしょう。
企業の広告宣伝部(インハウスグラフィックデザイナー)
企業の広告宣伝部に所属するデザイナーは自社商品のパッケージやロゴデザインを考案します。商品のテーマやコンセプトを考えたり、広告制作会社に制作について指示したりすることが主な仕事です。企業の広告宣伝部はデザイン業界の中では最も安定した職場ですが、デザイナーがデザイン以外の業務も担当することがあります。
フリーランス
会社員時代の経験や人脈を生かしてフリーランスで活躍するグラフィックデザイナーもいます。
ただし、フリーランスの活動が軌道に乗るまでは大幅な収入減となるため、活動初期は制作活動よりも人脈づくりや営業活動に力を入れることが必要です。
最近は、インハウスデザイナーとして働きながらも、個人で副業として仕事を受けている人も多いので、このあたりの働き方は時代の移り変わりによってより柔軟になっていると言えるかもしれませんね。
▶グラフィックデザイナーは副業でもできるの?仕事を獲得する方法と収入の目安
【年収】所属する企業によって大きく異なる
DODAの「平均年収/生涯賃金データ2018」によると、「グラフィックデザイナー・イラストレーター」の平均年収は337万円ですが、会社員として働くグラフィックデザイナーの年収は所属企業の規模によって大きく異なります。
「賃金構造基本統計調査」ではデザイナーの月給とボーナスが公開されています。平成26年の調査結果をもとにするとデザイナーの年収は、従業員1000人以上の場合約500万円、従業員100~999人の場合約380万円、従業員10~99人の場合約400万円です。
計算式は以下の通りです。
「決まって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」=年収
・従業員1000人以上
349.1(千円)×12+800.7(千円)=4989.9(千円)
・従業員100~999人
286.3(千円)×12+346.2(千円)=3781.8(千円)
・従業員10~99人
297.8(千円)×12+443.6(千円)=4017.2(千円)
グラフィックデザイナーは、スケジュールをコントロールして、個人で副業で仕事を受けられるようにすれば、比較的収入を上げやすい職業でもあります。
最近は副業推進の流れやパラレルワーカーとして働く人も増えていますし、会社に所属しながらも個人として仕事をするのもひとつのキャリアとして検討してもいいかもしれません。
グラフィックデザイナーとしてキャリアアップするには?
前述した「活躍の場」の話にもつながりますが、キャリアアップしていくには、以下のようなパターンがあります。
- いちグラフィックデザイナー(スペシャリスト)として、話題となるようなデザインをリリースする
- スペシャリストとして経験を積んだあと、全体のマネジメントを担当する
- フリーランスや法人として独立する
- Webデザインを勉強し、Web/グラフィック両方を扱えるようにする
企業所属よりは、やはり独立したほうがリスクはあるものの、収入の上限はなくなります。
企業内では、スペシャリストとして雑誌やメディアで取り上げられるような作品を生み出すか、社内のマネジメントレイヤーを目指すかがよくあるキャリアです。
最近は会社で働きつつ、SNSで個人として作品を発信して、副業・複業で収益を得るケースもありますね。
グラフィックデザインだけでなく、最近はWebデザインがセットできる人も多いので、デザインスキルの幅があるとさらにキャリアアップしやすくなるでしょう。
グラフィックデザイナーの将来性は?
2019年には、Web広告費がついにテレビの広告費を超えるといったニュースがありました。
Webを中心としたグラフィックデザイナーにとっては、どんどん活躍の場が増えているのではないでしょうか。
一方で、活躍の場が増える=グラフィックデザイナーのライバルや競合が増えるということなので、いかに自分の市場価値を高め、顧客の課題を解決できるクリエイターとなれるかがこれまで以上に問われるでしょう。
ですから、しかるべき実力を身に着けていくのであれば、将来性はある職種なのではないかと考えます。
グラフィックデザイナーになるのに資格は必要なの?
グラフィックデザイナーになるのに資格は必要ありません。しかし、資格取得は自分に箔をつけやすかったり、短期的にデザイン関連知識をインプットするのには良い機会となります。
今後フリーランスとして活動したい方や、短期集中でデザインの勉強をしたい人は、以下のような資格を取得するのを検討してみてもよいでしょう。
・Photoshop(R)クリエイター能力認定試験
・Illustrator(R)クリエイター能力認定試験
・DTPエキスパート認証試験
・色彩検定
・アドビ認定エキスパート(ACE)
グラフィックデザイナーに必要なスキル
グラフィックデザイナーとして働く上で必要なスキルはかなり多様ではありますが、以下のようなものが挙げられます。
・IllustratorやPhotoshopなどAdobe系ツールの基本・応用のスキル
・適切なフォントを選定するスキル
・適切なレイアウトを考えるスキル
・適切な色を選定するするスキル
上記のような、ベースとなるデザインスキルの他には以下のようなスキルが必要です。
・クライアントの要望を汲み取る力
・汲み取った要望を整理し、すり合わせる折衝力
・テキストや会話の中で収集した情報をグラフィックでビジュアルにするスキル
・適切なスケジュール設計をし、プロジェクトを推進するスキル
グラフィックはテキストと違ってビジュアルひとつで情報を届けるメディアです。
だからこそ、きちんと要望を汲み取って反映し、売上に繋げるためのコミュニケーション能力が重要となります。
グラフィックデザイン一本でやっていくこともできなくはないですが、時代的にかなりWebデザインのニーズが高まってきているので、グラフィックとWebデザイン両方の知識とスキルを持っておくことがデザイナーとして生きていくためには重要です。
特にデザイナーとしての独立を視野に入れ、「自分の名前」で仕事をしたい!という想いがある方は、幅広い、無茶振りにも耐えうるようなデザインスキルを持っておくと市場価値が上がりやすいでしょう。
グラフィックデザイナーの所属する会社の形態によって業務内容はやや異なり、年収もばらつきがあります。会社で経験を積んだデザイナーの中には、より良い働き方を求めてフリーランスに転身するデザイナーもいるため、多様なキャリアプランがある職種であると言えるでしょう。
しかし、専門性が高い職業であるため、未経験でいきなりグラフィックデザイナーとして就職、転職するのはかなり難しいです。
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セラピスト→デザイナーへ。異業種からクリエイターへの道を切り開く方法
今回はグラフィックデザイナーの仕事内容と年収についてご紹介しました。
グラフィックデザイナーの所属する会社の形態によって業務内容はやや異なり、年収もばらつきがあります。会社で経験を積んだデザイナーの中には、より良い働き方を求めてフリーランスに転身するデザイナーもいるため、多様なキャリアプランがある職種であると言えるでしょう。
グラフィックデザイナーになるには
グラフィックデザイナーになるためにスキルアップをするには、独学か人に習うかの2択になります。
独学は途中で飽きたり忙しくなって三日坊主で辞めてしまうリスクがあることや、フィードバックが受けにくいことでスキルアップがしにくい点がデメリットとして挙げられます。
スクールは、費用がかかるものの、本気で最後までやり抜いて、デザイナーを目指す人にはもってこいの環境です。
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