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Nukeとは?最新版のNuke13.2についても紹介!

Nukeは、Adobe After Effectsなどと並んで高機能なデジタル合成ソフトです。マスメディアで使われることもあり、とても高価で知られるソフトウェアですが、無償版もあるのはご存じでしょうか。

「映像制作の仕事に就く前にソフトを使ってみたい」「勉強に使いたい」「他のソフトと比べたい」「トップ技術の合成ソフトを試してみたい」という方におすすめです。

そこで今回は、有償版と無償版の違いを含めた、Nukeの特徴についてまとめました。

 

Nukeをこれから学びたい!というあなたへ

 

Nukeとは?

Nuke(ニューク)は、最高峰とうたわれるノードベースのコンポジットソフト(デジタル合成ソフトウェア)です。ロンドンに本社を置くThe foundry社の製品で、第一線の映画やTV、CMの制作にも使われていることで知られています。

 

ノードベースのソフトウェアとは、CG素材や画像素材、それら素材の処理内容を表すアイコン(ノード)を、インターフェース上で線をつなぐことにより、処理順序などを俯瞰(ふかん)で確認しながら作業ができるソフトウェアです。

 

Nukeには、Nuke・NukeX・NukeStudioと3種類の製品があり、Nukeが1番スタンダードなソフトウェアです。NukeXには3D Camera Trackerなどの機能が追加されており、Nukeよりも高度な実写合成が可能です。

3つの中ではNukeStudioが1番高機能。NukeXの機能プラス、タイムライン機能が付いています。

 

ちなみに「Nuke」とは、英語で「核兵器」や「原子力」という意味や、「食べ物をレンジでチンする」というスラングとしても使われています。一般的な英会話では「Nuke」はこれらの意味を指すことのほうが多いので、英語圏の方と話をする時は覚えておきましょう。

 

NukeとNukeXの違い

NukeとNukeXの違いはどのような点にあるのでしょうか。

NukeXはNukeの上位版である実写向けの合成コンポジットソフトウェアです。Nukeでは使用不可能なCamera Trackerが使用でき、3D空間の中にカメラを持てるようになります。このように、機能やプラグインにおいて、NukeXはNukeと比較してよりリッチな機能が搭載されています。

など、より複雑なコンポジット作業をしたい方にとってはNukeXの使用がおすすめです。

 

無償版と有償版の違いは?

 

 

 

 

 

 

 

 

Nukeは、日々のワークフローを効率的に、かつより快適にするように設計された高機能のコンポジットソフトですが価格も高く、スタンダードのNukeでも数十万、NukeStudioはさらに高額です。

映像制作のために使ってみたいけれど、個人ではとても楽に手に入れられるものではありません。そんな方のために、Nukeには2015年から無償版が登場しました。

使える機能が限られていますが、前述の3つの製品がすべて試せます。ここでは、有償版と無償版の違いをチェックしてみましょう。

 

 

ライセンスの違い

【有償版】商用利用可能

【無償版】商用利用不可

 

有償版ではもちろん商用の利用が可能ですが、無償版は非商用ライセンスです。

そのため営利目的で利用することは禁じられており、会社や自宅に関わらず仕事として使用することはできません。

教室で教育を目的に使用することも、有料無料に関わらず第三者へのサービスを目的として使用することも禁止です。つまり、個人学習や研究などのためにだけ使用することができます。

 

出力解像度と使えるノードの違い

【有償版】出力解像度:多様な出力解像度に対応

【無償版】出力解像度:1920×1080のHDサイズまで

 

有償版と違い、無償版では出力解像度が1920×1080のHDサイズまでと制限されています。また、ノードの中でWriteGeo、Primatte、Ultimatte、BlinkScript、GenerateLUTは無効化されています。つまり、機能が少ないということです。

また、Phytonスクリプトで検索できるノードの数も限られています。

 

暗号化されたデータベース

データストレージは暗号化されているため、無償版で作ったファイルは有償版で開くことができません。無償版で作ったファイルは、あくまで個人利用に限定されています。

 

その他:無償版ではサポート外(無効)のもの

・ビデオモニター出力は無効
・MPEG4、h264での2D形式のサポートは無し
・Nukeに付属しているサードパーティー製のプラグインは使えない

 

Nukeをこれから学びたい!というあなたへ

 

Nukeの特長

続いて、Nukeにはどのような特長があるのか、解説していきます。

 

短時間で高精細な映像制作の実現

Nukeは、チームで共同で映像制作をするにあたって必要なさまざまなツールがプリセットされています。短編の映像から、プロ仕様の長編映像作品、エピソード型コンテンツなど、幅広い映像に対応できます。

200以上のノードやスケーラブルなノードグラフ、画像処理エンジンを搭載しており、さまざまな解像度やスケールに応じて制作を進められるのが強みです。

 

高度なコンポジティングツール

Nukeは「ディープコンポジティングツール」を搭載しており、コンテンツを変更した際にCGエレメントを再レンダリングする必要性が軽減され、ピクセルあたり複数の不透明度、カラー、カメラ相対深度のサンプルを含む画像を扱うことができます。これによって、より幅広い表現を、効率的に実現できるというわけです。

 

OpenEXRやHydraなどの最新テクノロジーを搭載

Nukeには業界では欠かせないOpenEXR、Hydra、USDなどの最新のテクノロジーを搭載しており、キャプチャから納品まで、カラーマネジメントを容易にできるようになっています。

 

2D/3Dエレメントを素早く配置できる

Nukeの統合された3D環境を用いれば、2D/3Dエレメントも素早く配置できます。またカスタムジオメトリを使用することで、複雑なワークフローを簡単にセットアップし、レンダリングできるのも便利です。

 

最新版のNuke 13.2

Nukeの最新版「Nuke 13.2」の特長をかんたんにまとめていきます。

このように、多くのアップデートが実施されたとわかります。

制作分野ごとのメリット・デメリット

Nukeは優秀なソフトですが、現場によっては使い方が異なるため使いやすさも千差万別です。ここでは、3DCGや実写映像の制作においてのメリット、デメリットをまとめました。

 

実写映像制作でのメリット・デメリット

実写映像制作では、Nukeはトラッキングの精度が高いことと、色の管理が視覚化されているため、合成時の色合わせが他のソフトよりも効率良くできることがメリットです。

さまざまなアプローチでの色合わせが可能ですが、GradeノードやColorCorrectノードで比較的楽に色合わせができます。

実写映像制作でのデメリットは、いろいろなノードをつないだり、マスク作業をしたりするとPCが重たくなる場合があるということです。

無償版で使用する際は、WriteGeoノードの無効化のため3Dカメラトラッキングしたデータを他のソフトへ書きだすことはできません。

 

3DCG制作でのメリット・デメリット

3DCGの制作で、Nukeを使う最大のメリットはLayerContactSheetの存在です。

この機能を使うと3DCGソフトで出力したレンダーパスをNukeで使えるため、各種3DCGのソフトウェアとの連携が容易になります。

LayerContactSheetでは3Dソフトからレンダリングしたマルチチャンネルがすべて表示されるので確認も簡単、必要なチャンネルをいつでも呼び出して使うことが可能です。また、3Dモデルを直接Nuke内で管理することも可能なので、3Dソフトにも使えます。

しかし、すべてをノードで作らなくてはいけないため、慣れるまでは手間と時間が掛かるという点がデメリットです。

 

まとめ

Nukeをお試しになりたい方は、無償版からのご利用がおすすめです。

すべての機能を試したい!という場合は、有償版には30日間の無料試用版がありますので、そちらを利用するといいかもしれません。Nukeはノードベースのソフトなので、レイヤーのソフトを使ってきた方には戸惑う面もあるかもしれません。

しかし、操作に慣れて自分のものにできれば作業は効率化でき、もっと多くのすてきな映像を作り出すチャンスも増えるでしょう。

 

B!

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