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セラピスト→デザイナーへ。異業種からクリエイターへの道を切り開く方法

異業種から、地に足つけてクリエイターへの道を切り開いた 泉原希さん

「いつかは自分の作ったもので人の心を動かしたい」

「あのCMやミュージックビデオを作ったクリエイターみたいになりたい」

「自分の表現を仕事にしたい」…

 

そんな気持ちを抱えていながらも、毎日仕事や学校は忙しいし、どうやったらクリエイターになれるのかもイマイチわからない。そんな方は多いのではないでしょうか。

 

今回は、リラクゼーションセラピストというサービス業の世界から、複業デザイナーとしてのキャリアを切り開いた泉原希さんに、「異業種から、地に足つけてクリエイターとしての道を切り開く方法」についてインタビューをしてきました。

 

「今は全然違う仕事をしているけど、いつかはデザインやクリエイティブの仕事に携わりたい」と考えている方、ぜひともご一読を。

 

泉原希さんプロフィール

1986年、埼玉県生まれ。プログラマー、リラクゼーションセラピスト、Webディレクターを経て、現在はストレッチマシンの製造・販売をする株式会社ゼロイニシャライズにて、Webマーケター、デザイナーを務める。また、デザインスクールで出会った友人たちとデザイナーチーム「grow」を結成し、個人としてもデザインを基軸に活動する。

http://sponge.sakura.ne.jp/nozomiizumihara/

 

プログラマー → セラピスト → ディレクター → デザイナーという ユニークなキャリア

―今日はよろしくお願いします!まずはじめに、現在どのようなお仕事をしているのかを教えてください。

泉原:

よろしくお願いします!現在は、ゼロイニシャライズというストレッチマシンの製造・販売をしている会社でマーケティングとデザイン、Web周り全般の仕事をやっています。また、副業として友達とデザイナーチームを組んで、そちらでも仕事をしています。

 

―本業でも副業でもデザインの仕事をされているのですね。泉原さんはデザイナーになるまでに様々な職種を経験されていますが、これまでどのような人生をすごしてきたかを聞いてもよろしいでしょうか。

泉原:

デザインの道を歩むきっかけになった原体験は、父の影響でイラレやフォトショを使ってよく絵を書いていたことですね。ものづくりをするのが好きな子どもでした。

成長する過程で、近所の一人暮らしのおばあちゃんと交流する機会が多くあり、独居老人が生活する環境の厳しさに問題意識を持っていました。

そして「おじいちゃんおばあちゃんを取り巻く環境をもっとよくしたい」と考え、ユニバーサルデザインを学ぶ福祉系大学に入学しました。

 

―大学でデザインを学ばれたのですか?

泉原:

いいえ。デザインを学ぶのはそれから約10年後の話ですね(笑)大学では、お年寄りの方が暮らす住居の環境や図面などについて勉強しました。

そして、いざ就職するぞ!となったときに、介護士になることも検討しましたが、介護士の労働環境がなかなか厳しいという現実を知りました。

そこで、自分は現場で働くよりも、そういった人たちの労働環境がよくなるような「仕組み」を作れる人になりたいと考えるようになり、Webの制作会社に就職し、プログラマーになりました。Webをがっつり学んだのはこれが初めての経験でしたね。

 

―そして、その後「リラクゼーションセラピスト」として異業種に転職されたとのことですが、これはどういった経緯があったのでしょうか。

泉原:

当時、働きすぎて体調を崩してしまったのが大きかったですね。体調不良になったときに、病院に行ったのですが、お医者さんに「原因がわからない」と言われたことがありました。

たしかに、しんどい気持ちはあるのに原因はつかめない。こういう、病気ではないけど「なんとなくつらい」という症状を抱えた人って多くいるんじゃないかと思い、そういった人たちを少しでも減らせるような仕事をしたいと考えるようになりました。

そして、病気になる前に健康を増進して、予防に繋げることができるリラクゼーションの世界へ飛び込むことにしました。

 

―リラクゼーションの会社ではどのようなお仕事を担当されていたのですか。

泉原:

まずはじめは、お店のいちリラクゼーションセラピストとして月100人ほどのお客様に接客していました。その後、店長としてお店のマネジメントを経験したあとに、本部にて、予約システムの改修をするディレクターを担当しました。

現場での経験があって、前職経験によるプログラミング知識もあった自分だからこその本部からの声掛けでした。

お店でお客様と向き合えないのは残念でしたが、システムに対する現場から見た課題感はずっとわかっていたので、自分が本部にいることで、現場のみんなの声を反映しやすくなると考え、Webディレクターの仕事に挑戦する道を選びました。

 

―話を聞いていて、近所のおばあちゃんや現場のスタッフ、泉原さんの意思決定には、「相手のために自分ができることをやろう」という思いやりの気持ちがあるように感じますね。

そこはできるだけ大事にしようと思っていますね。何事も、自分のためではなく、相手のために。そして、相手のためになるなら、なんとなくやりすごすのではなく、思いっきり向き合うことを何事にも心がけています。

ちなみに、デザインの仕事に本格的に興味を持つようになったのもこの時期でした。

システム関連の資料や社内資料を作った際に、同僚から「泉原のつくる資料のデザインは見やすい」とコメントをもらったのがきっかけですね。

 

テキストだけではすぐに伝わらない情報を、ビジュアルだと一瞬だと伝わるというところにデザインの面白みを感じました。Web関連の仕事が増えたぶん、必然的にデザインのことを考える頻度も増え、自分自身もデザインを手がけられるようになりたいと思うようになりました。

 

会社に所属しながら、未経験からデザイナーになるためにやったこと

―会社員で本業がある中、泉原さんはどのような方法でデザイナーを目指したのですか?

まず、知り合いのデザイナーさんに「どうやったらデザイナーってなれるんですか?」と聞きにいきましたね。

そして、グラフィックやWeb問わず、デザインを勉強するのにおすすめの本を20冊聞いて、独学で勉強することにしました。合計8冊くらいはなんやかんやでテキストを終えましたね。

 

―すごい!独学でそこまで集中的にできるって、ガッツがありますね!

金銭的にもっとゆとりがあれば初めからスクールに通っていたかもしれませんが、まず自分でやってみて、なんとなく感覚を掴むことが当時は一番大事だと思ったので、まず自分でやってみました。

そして、副業禁止の会社だったので、バナー制作の実案件を知り合いのデザイナーさん経由で無報酬で仕事をもらって、フィードバックしてもらいながら実践してみました。

 

―無報酬で実際の案件にまで挑戦するとは!前のめりですね。

独学で選ぶ以上、やはりプロの人の意見をきちんと聞いてやってみるのがいいと思って、まずやってみた感じですね。本業もありましたし、正直、自分で時間を作ってやっていくのは簡単ではなかったですが、この経験があったからこそ、デザイナーの仕事に対して解像度を高く持ってスクールに通うことができたと思います。

逆にこれくらいのガッツがないと、独学では勉強できないとも思いました(笑)

 

―デジタルハリウッドのスクールに通われていたとのことですが、どうしてスクールに通われたのですか?

独学で実案件をこなす中で、自分だけのクセができるのが嫌だったこと、プロの人の意見を効果的に取り入れる方法としてスクールが便利だったこと、そして先々につながる仲間をつくるには、お金を払ってでもスクールに行くのがよいと考えたのが理由ですね。

ネットや知り合いの声を聞いた上ででいろいろスクールを比較検討しましたが、カリキュラムが自分に合っていたこと、そして、卒業生への案件の支援制度などがあったことが決め手となってデジハリに通うことにしました。

 

―スクールに通って何か変わったものはありますか?

デザイナーとして今の会社に転職をしたこと、そして、デジハリのスクールで出会った仲間たちとデザインチームを立ち上げて、個人でも仕事をするようになったことですね。

前までは、Web領域のなんでも屋さんのような仕事をしていましたが、今は興味のあったデザイン領域を基軸に本業も副業も取り組むことができています。

やはり、スクールで出会った仲間たちの存在は大きくて、デザインに関することも、そうでないことも色々相談できるのはありがたいです。信頼できる仲間と仕事をシェアしたり、助け合えるのは、本業にも良い刺激となっています。

 

 
▲泉原さんの所属するデザインチーム「Grow」

スキル面では、以前よりユーザーの視点を持ったデザインを心がけるようになったと思います。

先生からのフィードバックで「ユーザー目線が意識できてない!デザインは相手が情報をわかりやすく理解できることが大切だよ」と何回も指摘を受けました。

デザインの勉強をする前はついついデザイン=アートのように思いがちですが、デザインはあくまでもユーザーの課題解決のための方法だと痛感する日々でした。これからも大事にしたい考え方ですね。

 

―今は具体的にはどんな領域のデザインをされているのですか?


▲泉原さんデザインのポスター

本業では、ストレッチマシンの商品パンフレットやWebのデザイン、展示会の空間デザインまで、デザインに関連することなら何でもやっています。合わせてマーケティング領域も担当していますね。プログラミングやデザインの観点があることで、マーケティングについても、以前より広い視点を持って取り組むことができるようになりました。

副業では、クライアント案件がメインですね。高校生、大学生のころに関心の高かった介護系のデザインの仕事もできていて、感慨深いものがあります。

それだけでなく、ライフワークとして、相手の好きなものや表現したいもの、支援したいものをヒヤリングした上で、そのイメージに合ったオリジナルTシャツをつくり、販売するというプロジェクトをやっています。

少し変わったプロジェクトですが、相手の「らしさ」を引き出して形にするというプロセスは、とてもやりがいがあります。そのTシャツのデザインをきっかけに、知り合いの社長さんが会社を立ち上げるにあたって社名を決めたという出来事があり、とても感動しました。

デザインという武器が手に入ったおかげで、できることの幅が増え、友達もでき、結果的に大きく人生の可能性が広がったと実感しています。

これからも、今までのキャリアの中で培ってきた技術をかけ合わせて、ものづくりを通して人の幸せを実現できるような人間になれたらと思います。

 

自分の人生の舵を取るのは自分。やりたいと思ったらすぐに形から入ること。

―最後になりましたが、これからデザイナーになりたいと考えている方に向けてメッセージをお願いします!

泉原:

これは、自戒も込めてなのですが、やっぱり「やりたいと思ったらすぐにやること」が何よりも大事だと思います。

デザインツールやスクールの費用に問題があるなら、無料でもできることから着手したらいいし、時間がないなら、時間を作るための努力をしたらいい。環境に問題があるなら、お金や時間を使って環境を変える努力をすればいい。

私も、「デザイナーに興味がある」という人とご飯に行くことがたびたびあって、そこで話をして「がんばります!」と言ってる人に善意で本を貸したりもするのですが、けっこう返ってこないことが多かったりします(笑)

なんだか偉そうなことを言っている私自身も、英語のCDを1年分買ったのに3日で辞めてしまった経験があります(笑)結局自分の人生なので、「やるか、やらないか」の二択なんです。

1週間悩んだって、1ヶ月悩んだってあまり変わりません。ちょっと悩んで、困ったら、正しいであろう選択をとってみて、すぐにやってみること。

まずやってみて、合わなければ辞めればいいし、合っていたら続けたらいい。

モチベーションに左右されるのではなく、モチベーションにとらわれずに、やりたいことに挑戦することができる仕組みを作ることが何より大事なんだと思います。

時間が経てば経つほど、年齢や環境も変わりますし、目標に向かって努力するハードルはどんどん上がってしまう。

デザインをやりたいなら、何でもいいからひとつ何かをデザインしてみること。そして、それをポートフォリオにまとめて、発信して、新しい人と出会うこと。

シンプルですが、これを繰り返すだけで、デザイナーとしての道は不思議と開けていきます。

「転職」や「独立」と考えるとハードルは上がりますが、資料作成や友達に手紙を送るのもひとつのデザインなので、そういうハードルの低いもの、気楽にできるものから手を付けてみることをおすすめします。

これは経験則ですが、本気でがんばる人のことは、驚くほど周りの人間は助けてくれます。

だからこそ、最初の一歩をどうか恐れずに、挑戦してみてください!

 

―泉原さん、アツいメッセージをありがとうございました!

B!

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