3DCGの世界に足を踏み入れようとしている皆さん、モデリングという言葉を聞いて「難しそう」と感じていませんか?
実は、基本的な考え方とコツさえ掴めば、誰でも魅力的な3Dキャラクターを作ることができるようになります。
本記事では、初心者の方でも理解しやすいようにモデリングの基礎から実践的なテクニックまでを解説していきます。転職や就職を見据えて3DCGスキルを身につけたい方にとって、最初の一歩となれば幸いです。
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モデリングのやり方
3DCGモデリングは、コンピュータ上で立体的な形状を作り出す作業です。
平面のイラストとは異なり、あらゆる角度から見ても破綻のない立体物を作る必要があります。ここでは、実際にモデリングを行う際の基本的な手順を5つのステップに分けて解説していきます。
1. リファレンス(参考資料)の準備
モデリングを始める前に最も重要なのが、リファレンスの準備です。
作りたいキャラクターや物体の正面図、側面図、背面図など、複数の角度から見た資料を用意しましょう。実在する物体なら写真を撮影し、オリジナルキャラクターならデザイン画を描きます。
このリファレンスが詳細であればあるほど、完成度の高いモデルが作れるようになります。プロの現場でも、リファレンスなしでモデリングすることはほとんどありません。
特に初心者の方は、簡単な形状から始めて、徐々に複雑なものへとステップアップしていくことをお勧めします。
2. 基本形状(プリミティブ)からスタート
モデリングは、立方体(キューブ)、球体(スフィア)、円柱(シリンダー)といった基本的な形状から始めます。これらをプリミティブと呼びます。
例えば人間の頭部を作る場合、球体から始めて少しずつ変形させていく方法が一般的です。建物なら立方体、樹木なら円柱といった具合に、作りたいものに最も近い基本形状を選びます。
この段階では細かい部分は気にせず、大まかな形を作ることに集中しましょう。基本形状を適切に選ぶことで、その後の作業効率が大きく変わってきます。
3. 頂点・辺・面の編集
基本形状を配置したら、次は細かい編集作業に入ります。3Dモデルは頂点(ポイント)、辺(エッジ)、面(フェイス)という3つの要素で構成されています。
これらを移動、回転、拡大縮小することで形を整えていきます。最初は頂点を一つずつ動かすことから始め、慣れてきたら複数の頂点を同時に選択して効率的に作業を進めましょう。
この段階で重要なのは、全体のバランスを見ながら作業することです。一箇所だけに集中しすぎると、全体の形が崩れてしまうことがあります。
4. ディテールの追加と調整
大まかな形ができたら、細部のディテールを追加していきます。キャラクターなら目や鼻、口などの顔のパーツ、服のシワや装飾品などを作り込みます。
この段階では、Blenderなどではサブディビジョンサーフェスという機能を使って滑らかな曲面を作ることもあります。
ただし、初心者のうちは細部にこだわりすぎず、まずは全体の形をしっかり作ることを優先しましょう。ディテールは後からいくらでも追加できますが、基本的な形が歪んでいると修正が困難になります。
5. トポロジーの最適化
最後に、作成したモデルのトポロジー(ポリゴンの流れ)を整えます。これは特にアニメーションを前提としたキャラクターモデルで重要な作業です。
関節部分には適切な数のエッジループ(輪状に配置された辺)を配置し、変形しやすい構造にします。また、不要なポリゴンを削除して軽量化することも大切です。
ゲームや映像制作の現場では、見た目の品質を保ちながらいかに軽いモデルを作るかが重要になります。この最適化作業は経験を積むことで上達していく部分なので、最初は基本的な考え方を理解することから始めましょう。
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ポリゴンモデリングのコツ
ポリゴンモデリングで最も重要なコツは、「頂点が少ない状態から徐々に細かくしていく」ということです。
いきなり細かいメッシュで作業を始めると、全体の形を調整するのが非常に困難になります。まずは必要最小限のポリゴン数で大まかな形を作り、その後で必要に応じて分割していくアプローチが効果的です。
頂点が少ない状態から作った方がいい理由
頂点数が少ない状態から始めることには、いくつかの明確な利点があります。まず、形状の調整が格段に楽になります。
例えば、8頂点の立方体なら各頂点を動かすだけで全体の形を大きく変えられますが、1000頂点もあると一つ一つ調整するのは現実的ではありません。また、少ない頂点数で作業することで、モデルの基本的な構造やプロポーションを正確に把握できます。
建築で例えるなら、まず骨組みをしっかり作ってから壁や装飾を追加するようなものです。さらに、コンピュータの処理負荷も軽くなるため、作業中のレスポンスが良く、ストレスなくモデリングを進められます。プロのモデラーも必ずこの手法を使っており、最初から細かく作り込むことは基本的にありません。
ポリゴンモデリングでキャラクターを作る時のポイント
キャラクターモデリングは3DCGの中でも特に難易度が高い分野ですが、基本的なポイントを押さえれば初心者でも魅力的なキャラクターを作ることができます。ここでは、実践的なキャラクター制作のポイントを4つに分けて解説します。
1. プロポーションの重要性を理解する
キャラクターモデリングで最も重要なのは、正確なプロポーション(身体の比率)です。
人間の場合、一般的に身長は頭部の約7~8個分、腕の長さは太ももの中央まで届く、といった基本的な比率があります。これらの比率を守ることで、違和感のないキャラクターが作れます。
アニメ調のキャラクターでは意図的にプロポーションを変える場合もありますが、その場合でも基本を理解した上でデフォルメすることが大切です。
最初は写実的な人体から始めて、慣れてきたら様々なスタイルに挑戦してみましょう。プロポーションが正しければ、後から服装や髪型を追加しても自然に見えます。
2. 対称性を活用したモデリング
人体は基本的に左右対称なので、ミラーモディファイア(対称複製機能)を活用することで作業効率が大幅に向上します。
片側だけをモデリングすれば、もう片側は自動的に生成されるため、作業時間が半分になります。ただし、完全に対称だと不自然に見えることもあるので、基本的な形ができた後で少しだけ非対称な要素を加えると、より自然で生き生きとしたキャラクターになります。
顔の表情や髪の流れ、服のシワなどに軽い非対称性を持たせることで、リアリティが増します。この技法は業界標準となっており、どのソフトウェアでも必ず搭載されている機能です。
3. エッジフローを意識した構造設計
キャラクターが動くことを前提にモデリングする場合、エッジフロー(辺の流れ)が非常に重要になります。
特に関節部分や表情が変化する顔面では、自然な変形ができるようなポリゴンの配置が必要です。肘や膝などの関節部分には、曲げた時にきれいに変形するよう、関節を中心とした放射状のエッジループを配置します。
顔の場合は、目の周りや口の周りに円状のエッジループを作ることで、表情の変化に対応できます。この構造設計は一朝一夕には身につきませんが、優れたモデルを観察し、実際に作ってみることで徐々に理解できるようになります。
4. ディテールの段階的な追加
キャラクターのディテールは、段階的に追加していくことが重要です。まず裸体の基本形状を作り、その上に服を着せ、最後に小物や装飾品を追加するという順序で進めます。
この方法なら、各段階で形状を確認しながら進められるため、大きな手戻りが発生しにくくなります。
髪の毛も同様で、まず大まかなボリュームを作ってから、束感や流れを追加していきます。初心者の方は一度にすべてを作ろうとして失敗しがちですが、プロは必ず段階的なアプローチを取ります。各段階でファイルを保存しておけば、失敗しても前の段階に戻れるという利点もあります。
モデリングにおすすめのソフト
3DCGモデリングを始めるにあたって、どのソフトウェアを選ぶかは重要な決断です。ここでは、初心者から上級者まで幅広く使われている代表的なソフトウェアを、無料と有料に分けてご紹介します。
無料
予算をかけずに3DCGモデリングを始めたい方には、高機能な無料ソフトウェアがいくつか存在します。これらは商用利用も可能で、プロの現場でも使われることがあります。
Blender
Blenderは、オープンソースの統合型3DCGソフトウェアです。モデリングだけでなく、スカルプト、テクスチャペイント、アニメーション、レンダリングまで、3DCG制作に必要な機能がすべて揃っています。
特筆すべきは、これだけの機能を持ちながら完全無料で使える点です。近年のアップデートで操作性も大幅に改善され、初心者にも扱いやすくなりました。
豊富なチュートリアルがYouTubeなどで公開されており、独学でも十分にスキルを身につけられます。ただし、機能が多いため最初は戸惑うかもしれませんが、基本的な操作を覚えれば非常に強力なツールとなります。
Autodesk Fusion (個人利用)
Autodesk社のFusionは、本来は有料のCADソフトですが、個人利用や非商用利用に限り機能限定版として無料で使用できます(2025年7月時点)。まずは30日間の無料版から利用できます。
機械部品や工業製品のモデリングに特化しており、正確な寸法でのモデリングが可能です。パラメトリックモデリングという手法を採用しているため、後から寸法を変更しても自動的に形状が更新される利点があります。キャラクターモデリングには向きませんが、プロダクトデザインや建築モデリングを学びたい方には最適です。
クラウドベースなので、複数のデバイスで作業を続けられるのも魅力的です。
有料
プロフェッショナルな環境で使われる有料ソフトウェアは、サポート体制や業界標準という点で大きな利点があります。将来的に3DCG業界で働きたい方は、これらのソフトウェアの習得を検討する価値があります。
Maya
Autodesk Mayaは、映画やゲーム業界で最も広く使われている3DCGソフトウェアの一つです。特にキャラクターアニメーションの分野では業界標準となっており、ハリウッド映画の多くがMayaで制作されています。
モデリング機能も充実しており、NURBS、ポリゴン、サブディビジョンサーフェスなど、様々な手法でモデリングが可能です。
価格は年間約30万円と高額ですが、学生版は無料で利用できます。豊富なプラグインやスクリプトが存在し、カスタマイズ性が高いのも特徴です。大規模なプロダクションでの使用を想定した機能が充実しており、チーム制作にも適しています。
3ds Max
同じくAutodesk社の3ds Maxは、建築ビジュアライゼーションやゲーム開発で人気のソフトウェアです。Mayaと比較すると、より直感的な操作性を持ち、モディファイアスタックという独自のシステムで非破壊的な編集が可能です。
特に建築パースやプロダクトビジュアライゼーションの分野では圧倒的なシェアを持っています。
価格はMayaと同程度ですが、Windows専用という制限があります。豊富なモデリングツールと、強力なレンダリング機能を持ち、リアルな表現を得意とします。
ZBrush
Pixologic社のZBrushは、デジタルスカルプティングに特化したソフトウェアです。粘土をこねるような直感的な操作で、非常に詳細なモデルを作成できます。映画やゲームのクリーチャーデザイン、キャラクターの細部作り込みなどで広く使われています。
従来のポリゴンモデリングとは異なるアプローチですが、他のソフトと組み合わせることで非常に強力なワークフローを構築できます。
価格は買い切りで約10万円程度と、他の統合型ソフトと比較すると手頃です。特に有機的な形状のモデリングを行いたい方にお勧めです。
3DCGを学ぶならデジハリ・オンラインスクール
本格的に3DCGを学び、プロフェッショナルとして活躍したい方には、デジハリ・オンラインスクールの3DCG・映像クリエイター講座がお勧めです。
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現役のプロクリエイターが講師を務め、実践的な技術だけでなく、業界で求められるワークフローやコミュニケーション方法まで学べます。オンライン形式なので、仕事や学業と両立しながら自分のペースで学習を進められるのも大きな魅力です。
就職・転職サポートも充実しており、ポートフォリオ制作から企業への推薦まで、キャリア形成を総合的にサポートします。
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まとめ
3DCGモデリングは、基本的な考え方とコツを理解すれば、誰でも習得できる技術です。
独学でも学べますが、効率的にプロレベルのスキルを身につけたい方は、デジハリ・オンラインスクールのような専門的な教育機関での学習も検討してみてください。3DCGの世界は奥深く、学ぶことは尽きませんが、その分やりがいも大きい分野です。
ぜひ最初の一歩を踏み出してみてください。