ハードウェアやソフトウェアの進歩によって、CG(コンピュータグラフィックス)の可能性も広がっていますが、技術を使いこなすための高い能力がCGデザイナーには求められます。
3DCGはただツールを使ってモデルを作成するだけの簡単な世界ではありません。ツールの習得以前に造形力・観察力を養うことが必須です。では、どのようにして造形力・観察力を鍛えれば良いのでしょうか?
今回は3DCGデザイナーを目指す方が造形力・観察力を鍛えるための方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.毎日15分のデッサンを続ける
PCを使って作業することが多い3DCGデザイナーには、デッサンの練習は不要と考える方もいるでしょう。しかし、腕の立つデザイナーを目指すのであれば立体物の構造を正確に捉え、平面上に表現する力を身に付ける必要があります。そのためには毎日のデッサンが効果的です。
デッサンは対象の形状、質感、光源など全てを正しく観察した上でキャンバスに落とし込むため、対象物を観察する力、そして対象物をキャンバスに表現する造形力を鍛えることになります。
デッサンを続けるうちに見たものの特徴を瞬時に捉えて絵にすることができるようになるでしょう。数回のデッサンでは観察力・造形力を十分に養うことはできません。最初はデッサンを毎日15分の習慣とするところから始めてみてください。
2.作る対象を徹底リサーチして観察力を鍛える
クライアントの期待に応えるためにはヒアリングの際にクライアントの要望を聞いて、作る対象を頭の中にはっきりとしたイメージを描くことができるかどうかが重要です。
具体的なイメージを描くことができないうちに作業に入った場合、成果物がクライアントの意向にそぐわない可能性もあります。明確なイメージを持つためには観察力を養うことが効果的ですが、作る対象について徹底的に情報収集することは観察力を高めるための良い方法です。
インターネットで情報収集するだけでは、十分とは言えません。例えば、自然の風景を3DCGで表現する場合は現地まで足を運び、必要な角度の写真を撮りましょう。時間に余裕がある作業前の時期に情報収集を行い、しっかり事前準備をすることが大切です。経験を積むことによって徐々に対象をリサーチするポイントも分かるようになるでしょう。
3.最終形を想像しながらモデリングを繰り返す
造形力・観察力を鍛えたら、ツールを使った実践に入りましょう。完成形をイメージしながら、レイアウトを決定してモデリングを行います。
モデリングの際にやみくもにパーツを作ってから組み立てていくと、作り込むところと力を抜くところの区別がつかなくなります。無駄な作業は極力省き、クオリティを上げるためには最初から最終形をイメージして作り始めることが大切です。
レイアウトが完成したら、一つ一つのパーツをポリゴンで作り込みます。このモデリングの作業では対象物を立体的に把握し、全体を俯瞰する力が必要です。例えば人の筋肉を表現する場合、筋肉全体の流れを読み取ってポリゴンで表現する必要があります。
モデリングでは自分で想像力を膨らませてオリジナルの表現方法を模索するしかありません。デッサンと徹底したリサーチで養った造形力と観察力をフル活用させて、モデリングを行ってください。何度も失敗し、練習を繰り返す地道な努力こそが造形力・観察力を鍛える一番の近道です。
まとめ
3DCGデザイナーのミッションはクライアントからの依頼通りにキャラクターや商品などを正確に表現することですが、観察力と造形力を鍛えるためにはデッサンと日頃からのリサーチ、そして継続的なモデリングのトレーニングが欠かせません。まずは1日15分のデッサンを習慣にして、3DCGデザイナーとして活躍するための基本的な力を磨きましょう。