インスパイア・オマージュ・パロディ・パクリ、一見すると同じように思えますが、実際には意味が異なります。間違った使い方をしてしまうと、オリジナル作品やその製作者に失礼であるだけでなく、場合によっては著作権などの問題も絡んできます。今回は4つの言葉の違いと境界線について掘り下げてみます。

 

インスパイア・オマージュ

インスパイア・オマージュ

「インスパイア(inspire)」とは、尊敬する作品に影響を受けて同じテーマの作品を作ることです。動詞インスパイアの名詞形が「インスピレーション(inspiration)」です。

インスパイアは「思想などを吹き込む」という意味を持つため、あるアーティストの作品に感銘を受けて制作された作品を「インスパイアされた」作品と呼ぶこともあります。

後に映画化もされたブロードウェイミュージカル『ウエスト・サイド物語』がシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』にインスパイアされた作品であることをご存じの方も多いでしょう。

 

一方、「オマージュ(hommage)」はフランス語で「敬意」「賞賛」を意味し、英語の「リスペクト(respect)」と同じ使い方をします。

ここで挙げた「インスパイア」「オマージュ」「リスペクト」はすべて尊敬や賞賛の念が込められていて、元の作品をそのまま流用することなく、独自の表現を加えて創作されています。

 

インスパイアやオマージュの場合は「インスパイアされた(オマージュを捧げる、リスペクトされた)オリジナル作品はこれです」と胸を張って主張できることが大きなポイントです。オリジナル作品の個性を尊重しながら創造された新しい作品は、人々に意義のあるものとして受け入れられていくのです。

 

パロディ

パロディ

ギリシャ語「paroidia」に語源を持つ「パロディ(parody)」は、オリジナル作品を愛のあるユーモアで茶化して作品を作るときに使われます。風刺の要素も含まれ、演劇や文学作品などに多く存在します。

 

オリジナルの作品を知っているとより滑稽で、親しみやすくなります。パロディに対する感じ方は人それぞれですが、一概に悪いものばかりではありません。肩の力を抜いて楽しめる作品もあります。

例えば、「本歌取り(ほんかどり)」という和歌の技法は古歌の一節を作品に取り入れる技法です。日本の狂歌、替え歌も古くから用いられるパロディの一種です。

 

パクリ

ぱくりと大きな口をあけてものを食べる様子から来ているという説など、パクリの語源は諸説あります。「パクリ(パクる)」は転じて「窃盗(盗む)」といった意味も持っています。

このことからも分かる通り、「パクリ」という表現は決して良い意味では使われません。オリジナル作品をそのまま流用されたときに、いわゆる「盗作」「盗用」の同意語としてパクリという言葉が用いられます。

 

したがって、オリジナル作品が存在するにもかかわらず、あたかも自作と見せかけて発表された悪意ある作品は「パクリ」に当たります。

作品の制作には膨大な時間やコストが掛かっています。その手間を省いて他人の表現を流用した場合、モラルを問われるだけでなく、著作権侵害の責任を問われる可能性もあります。

 

まとめ

よく混同される「インスパイア」「オマージュ」「パロディ」「パクリ」ですが、それぞれ異なる意味を持っています。自己のオリジナリティを追求したインスパイアやオマージュ、パロディは芸術の世界に新しい可能性をもたらしますが、パクリは製作者の努力を踏みにじる行為です。

同じクリエーターとして、オリジナル作品への敬意やポジティブな思いを忘れず、配慮を持って扱うことが大切です。自分がインスパイアのつもりで制作した作品がパクリとして受け取られることはないか、もう一度確認してみましょう。