普段何気なく見ているアニメーションなど、3DCG技術を目にする機会が増えました。今や身近な技術といってもよい3DCGアニメーションですが、その制作手法は一般的にはあまり知られていません。そこで今回は、オブジェクトとテクスチャ、キャラクターが動くまでの基本的なアニメーションの制作手法を解説します。
3DCGアニメーションの制作工程は?
3Dモデルに動きを与えてアニメーションにするためには、以下の3つの工程が重要です。
【1】モデリング
2Dのアニメーション制作の際、元になるのは二次元の絵です。3Dアニメーションの場合は、その絵を3Dにすることから始めます。この作業をモデリングといいます。
モデリングでは、登場人物などのキャラクター、衣装、背景や建物、細かい道具などを3D化していきます。この作業はほとんどの場合、モデリング専門の「モデラー」が行います。
モデリングで3DCGのモデルを制作したら、テクスチャなどで着色や質感を加えます。
【2】リギング
リギングとは、リグ(仕組み)を設定する作業のことです。例えば、指の1つ1つの関節に自然な手の動きを表現できるような仕組みを設定する作業を指します。
リグは、キャラクターを動かす場合、「スケルトン」という骨格を制作する必要があります。
3DCGソフトに元々入っている人型のリグを使用すれば、ある程度簡単にキャラクターにリグを設定できますが、それだけでは自然な動きをしてくれるとはいません。自然な動作のために調整する必要があるのです。
リギングは、アニメーションをつける前に行われ、リギングを専門の作業とする方を「リガー」や「リギングアーティスト」と呼びます。
【3】スキニング
リギングを施しただけでは、アニメーションのようには動きません。リグを設定した指のスケルトンが動いたら、モデルの指も動くように紐づける必要があります。
このスケルトンを操作できるように関連づける作業がスキニングです。
スキニングの中には、スキニングによって動くようになったモデルの形が自然になるように
調整する「ウェイト調整」も含まれます。
3DCGの「オブジェクト」とは?
オブジェクトとは、正確には3Dモデルの大きさや位置、回転を定義することを指しますが、モデル自体を指すこともあります。
例えば、キャラクターや道具、街などがオブジェクトです。
Null (ヌル)オブジェクト
Nullオブジェクトとは、レンダリングに影響しない特殊なレイヤーのことです。難解イメージのあるNullオブジェクトですが、アニメーション制作ではこれが使用されることがあります。
例えばAとBというレイヤーに同じ動きをさせたいときに、AとBのレイヤーをNullレイヤーにリンクしておくと、Nullレイヤーに動きを設定するだけでAとBが同じように動くようになります。
たくさんのレイヤーを動かしたい場合に有効で、全てのレイヤーにアニメーションをつけることなく、作業が効率的にできることがメリットです。
3DCGにおける「テクスチャ」とは?
テクスチャとは、画像や写真、絵などを元に制作され、オブジェクトの表面に色や模様、質感、凹凸などの情報を貼り付ける際に使用されます。
テクスチャを3DCGモデルに設定するには、2Dでテクスチャを制作した後、UV座標を基に制作2Dのテクスチャを3DCGモデルにマッピングし、調整することが必要です。
最近では、3Dモデルに直接ペイントできる3Dペイントの手法が取られることもあります。その際使用する3Dペイントのソフトは、Substance PainterやMARIが主流です。
まとめ
アニメーションの制作には、まずモデリング、リギング、スキニングという3つの工程を踏むことが必要です。基本的には3Dモデルにこの3つを施せば、アニメーションとして動かすことができます。より精密なものが必要な映画やTVアニメーションでは、オブジェクトにテクスチャを貼り付ける作業や、舞台に3Dモデルをレイアウトする作業、レイアウトした3Dモデルにライティングを施す作業、コンポジットというキャラや背景、影を合成する作業など、他にもさまざまな作業があります。