フリーランスとして独立するならば、当然、会社員時代に加盟していた保険からは脱退しなければなりません。その場合、個人事業主の保険はどうしたらいいのでしょうか?
どうなる?個人事業主の健康保険
会社員ならば会社で健康保険組合に加入し、保険料は毎月給与から天引きされるシステムになっています。会社の半額負担もあるため、保険料の自己負担は半分で良いことは会社員ならではのメリットでしょう。
一方、フリーランスになれば保険は自分だけで支払わなくてはなりません。会社による半額負担もなくなり、原則的に全額負担です。個人事業主の健康保険は国民健康保険が基本ですが、親や配偶者の扶養に入ったほうがお得な場合もあります。フリーランスとしてどれぐらい仕事をしていく予定なのかにもよりますが、しっかりと計算して無駄のないようにしたいところです。
任意継続という方法もある
継続して2カ月以上保険料を支払った履歴があるならば、退職後も会社で働いているときに加入していた健康保険組合を任意継続するという方法を選択できます。ただし、再加入となるため、健康保険証は新たに交付してもらうことが必要です。会社ではなく健康保険組合に直接申請しなければなりませんが、会社が代行してくれるケースもあるため、まずは相談してみることをおすすめします。
ただし、会社員ならば1割だった自己負担が、任意継続になると3割になるという点は注意しましょう。国民健康保険も同じ3割負担であるため、独立の際にどちらにするか迷う人は少なくありません。
任意継続と国民健康保険のどちらがお得?
任意継続では、会社員時代の2倍程度の負担になることが一般的です。保険料は、それぞれの健康保険組合サイトで確認できます。ただし、40歳から64歳の人は介護保険第2号被保険者になるため、保険料の他に介護保険料が上乗せされます。
一方、国民健康保険は市町村の役場で手続きと支払いを行います。退職後に改めて国民健康保険に加入するには、手続きは14日以内に行わなければならず、健康保険被保険者資格喪失証明書が必要になるため、必ず退職前に会社から発行してもらいましょう。
保険料は各市町村によって計算方法が異なり、収入金額に連動して増減します。任意継続よりもお得かどうかはケース・バイ・ケースなので、まずは最寄りの役場に試算してもらうことをおすすめします。40歳から64歳の人は介護保険料も上乗せされるため、その金額も合わせて確認してください。
家族の扶養に入ることも1つの方法
フリーランスと一口に言ってもその収入はさまざまです。個人事業主としてしっかりと稼ぐ人もいるかもしれませんが、お小遣い稼ぎや家計の足しレベルで十分という人も多いのではないでしょうか。
もし、月収が10万8,000円以下で年収が130万円以下ならば、家族の扶養に入ることが可能な場合もあるため、検討することをおすすめします。
健康保険組合であれば自己負担は1割で済むというのは、やはり大きな魅力です。ただし、健康保険組合によっては、たとえ収入が少なくとも個人事業主が扶養に入ることを認めない場合もあるため、まずは電話等で問い合わせてください。
事業が軌道に乗って収入が増えることは喜ばしいことですが、稼ぎすぎると扶養外となり、自分で保険料を支払わなければなりません。仕事をセーブして扶養に入ったままにしたほうがいいのかどうか、ボーダーライン上のときには特に収入を意識することが大切です。
まとめ
フリーランスの健康保険は、健康組合保険の任意継続と国民健康保険どちらを選んでも、自己負担が3割になってしまうのは痛いところです。そのため、配偶者の扶養に入ることも含めて、賢く健康保険を選択しましょう。また、Webデザイナーやグラフィックデザイナーなど、デザイン関係の仕事をしているフリーランスの方は、文芸美術国民健康保険組合への加入が可能です。文芸美術国民健康保険組合であれば、保険料は収入に関係なく定額のため、お得に健康保険料を済ませることができるかもしれません。デザイン関係のフリーランスの方は、文芸美術国民健康保険組合についても検討してみましょう。