「DTP」とは「DeskTop Publishing(デスクトップパブリッシング)の略称です。DTP制作では、雑誌や書籍、広告など、主に紙媒体の原稿制作やレイアウトなどを行います。DTP制作に関する職種として、DTPデザイナーとDTPオペレーターの2つが挙げられます。これらの職種を目指すなら、どのようなスキルを身につければ良いのでしょうか。
今回はDTP制作に必要なスキルと、企画から制作・入稿までのワークフローをご案内します。
DTP制作に必要なスキルは?
DTP制作を行うには、パソコンや専用ソフトの基本的な操作スキルのほか、色や印刷に関する知識や円滑にコミュニケーションをとるスキルも必要になります。
それでは、DTP制作に必要なスキルを詳しく見ていきましょう。
ソフトのスキル
DTP制作で使われる代表的なソフトには、Photoshop、Illustrator、InDesign、QuarkXPressの4つがあります。
1.Adobe Photoshop(アドビ・フォトショップ)
主に写真やイラストなどの色補正や修正、合成など、画像加工・編集の際に使用します。
2.Adobe Illustrator(アドビ・イラストレーター)
主にイラストや図形などの作成・レイアウトする際に使用します。ポスターやチラシなど、ページ数が少ないものの制作に向いています。
3.Adobe InDesign(アドビ・インデザイン)
画像と文字(文章)を組み合わせたレイアウトデザインを行うソフトで、主にページ数がある冊子や書籍、パンフレットなどの制作に使用します。
4.QuarkXPress(クォーク エクスプレス)
Adobe InDesignが出現する前に定番だったレイアウトソフトです。役割としてはInDesignと変わりません。安定感があるため、今でもQuarkXPressを使用している企業があります。
色と印刷の基礎知識
DTP制作を行うには、ソフトの操作スキルだけではなく、色や印刷の知識も必要です。
PCのモニターやスキャナーなどでは「光の三原色」と呼ばれる、R(レッド)・G(グリーン)・B(ブルー)のRGBカラーで色が表現されています。
一方、印刷物の色は「色の三原色」と呼ばれる、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)に、K(キープレート)というスミ色、すなわちブラックを加えたCMYKの4色でフルカラーを表現しています。
先ほどご紹介した4つのソフトは、RBGとCMYKどちらの形式にも対応しています。しかし、RGB形式で制作をしたとしても、入稿の際は必ずCMYK形式に変換しなくてはなりません。なぜならば、CMYKよりもRGBのほうが表現できる色の領域が広いからです。このため、RGBでしか表現できない・CMYKで対応していない色が使われていた場合、印刷物の色がくすんだ色になってしまう場合が多いのです。CMYKで再現できない色を表現するには、特色印刷を注文しなければなりません。
このように色の表現法や特色に気をつける必要があるため、DTP制作において色や印刷の知識は不可欠なのです。
コミュニケーションスキル
次にDTP制作ワークフローをご紹介しますが、そこにはクライアントや各ディレクター、ライター、カメラマン、イラストレーターなど、さまざまな担当者が登場します。
DTPでデザインやレイアウトを制作する際は、これらの担当者の意図を把握することが必要不可欠です。このことから、DTPデザイナー・オペレーターにもコミュニケーションスキルがある程度求められるといえるでしょう。
DTP制作のワークフロー
DTP制作のワークフローを簡単にまとめると、次のようになります。
企画立案・確定→各担当者が原稿制作→デザイン・レイアウト制作→入稿→色校正→印刷
では、各フローについて詳しく見ていきましょう。
1.企画・原稿制作
どんなコンセプトで、どんな画像やイラストなどのコンテンツをどのように載せるかなど、主に企画担当者や編集者、アートディレクターなどとクライアントが打ち合わせをしながら企画案を練っていきます。企業によってはDTPデザイナーが立ち会う場合もあります。
方向性が決まったら、ライターやカメラマン、イラストレーター、グラフィックデザイナーなどの各担当者が、必要な原稿制作を行います。
2.デザイン・レイアウト制作
各担当者が制作した原稿を集め、DTPデザイナーがそれらをレイアウトしながらデザインしていきます。
デザイン・レイアウト作業が完了したら、文字校正を含めた全体チェックを行い、DTPオペレーターが印刷用入稿データを作成します。
企業によってはDTPデザイナーが印刷データまで作成する場合もあります。
3.入稿
DTPデザイナーまたはDTPオペレーターが、印刷用データを印刷会社に入稿します。
4.色校正
試し刷りがあがってきたら、想定していたデザインや色の通りに印刷されているか入念にチェックします。修正や補正が必要な場合、試し刷りの校正用紙の該当する箇所に赤字を書き入れます。校正用紙を印刷所へ戻し、必要に応じて再度試し刷りを出してもらい色校正を繰り返します。
5.印刷
色校正が完了したら印刷会社で印刷します。その後、裁断、加工を経て制作物が納品されます。
まとめ
今回は、DTP制作に欠かせないソフトや、DTP制作のワークフローについてご紹介しました。
DTP制作を行うには、PCや専用ソフトの基本的な操作スキルのほか、色や印刷に関する知識が不可欠です。また、ライターやアートディレクターなどさまざまな職種の人たちとミーティングを重ねて制作を進めるため、コミュニケーション能力も重要なスキルの1つといえるでしょう。