現在、多数の企業がソーシャルメディアをマーケティングに活用しています。しかし、効果が高い反面、企業として利用する場合のリスクは決して低くありません。
また、ソーシャルメディアは気軽に利用できるため、個人の軽はずみな情報発信などにより企業イメージを損なうことにもなりかねません。例えば、FacebookなどのSNSを従業員が個人的にやっている場合でも、会社名や所属部署などの情報を掲載していれば、個人として発信した情報であっても会社にも影響が及ぶ可能性があります。
企業がソーシャルメディアマーケティングを行う場合は、企業としてソーシャルメディアを扱う際だけでなく、従業員の個人的な利用に関しても、リスクを考慮してガイドラインを示さなければなりません。また、問題が起きたときの対応方法や、緊急連絡体制などの整備と体系化を図ることも大切です。
ソーシャルメディアマーケティングにおけるリスク
ソーシャルメディアマーケティングとは、顧客が知りたいと思える内容や顧客も参加できるコンテンツなどにより興味・関心を喚起し、ソーシャルメディアを利用し共感してもらうことで企業に有効な情報を拡散するものです。
自社のサービス・商品・ブランドを宣伝し顧客とつながることにおいては、ソーシャルメディアは大きな力を発揮します。しかし、ソーシャルメディアに伴うリスクについてしっかり把握しなければ、企業に大きな損失をもたらしかねません。
想定されるリスクとしては、大きく2つあります。
【1】企業活動におけるリスク
・やらせやなりすまし
・情報の改ざんや隠ぺい
・不適切な広告やキャンペーン
・商品・サービスの不備
・顧客とのトラブル
【2】従業員におけるリスク
・不適切な行為や発言
・悪質ないたずら
・情報漏えい
企業にとって、上記のリスクは以前からあるリスクと何ら変わりあるものではありません。しかし、ソーシャルメディアの特性である「リアルタイム性」はリスクの拡散を助長します。そのため、企業のリスク対応のスピードアップが重要な課題となるでしょう。
ソーシャルメディアのガイドライン・ポリシーとは
企業はガイドライン・ポリシーとしてソーシャルメディアの使用目的やルールを定め、社員に教育し浸透させなければなりません。
多くの企業が「ソーシャルメディアガイドライン」や「ソーシャルメディアポリシー」を公開していますが、「ガイドライン」と「ポリシー」の違いをご存じでしょうか。
「ガイドライン」は推奨されるべきプロセスを簡易化し、理解しやすいように記述した「指針」です。一方で、「ポリシー」は「方針」を意味し、ガイドラインよりも強制力が強いことが特徴です。
ガイドライン・ポリシー作成のポイント
ソーシャルメディアのリスク対策は、「予防」と「炎上発生時の対応」の2つになります。
リスク予防策としては、以下3つのガイドライン・ポリシー作成がおすすめです。
1.従業員向けソーシャルメディアガイドライン
正社員、契約社員、アルバイトも対象とし、すべての従業員の個人利用に関して記述します。ソーシャルメディア炎上の多くは、従業員が故意に発生させたわけではなく、配慮に欠けた情報発信をしたことが原因であるケースがほとんどです。
2.ソーシャルメディアマーケティングにおけるガイドライン
企業として、ソーシャルメディアをマーケティング目的で利用する際のガイドラインです。不適切な投稿やキャンペーンによる炎上を未然に防ぐために作成します。
3.公開用ソーシャルメディアポリシー
公開用ソーシャルメディアポリシーは、企業としての姿勢を対外的に示すことが目的です。コーポレートサイトなどでの公開用として作成します。
リスクをゼロにすることができない以上、炎上やトラブルが発生してしまった場合の「炎上対応マニュアル」の策定も重要です。リスクの発見から対応までのフローや体制を構築しましょう。
また、ガイドラインやポリシー、炎上対応マニュアルを整備しただけでは従業員のソーシャルメディアの仕組みやリスクに対する理解はなかなか深まりません。従業員に当然のこととして浸透させるための教育が必須です。
まとめ
企業がソーシャルメディア運用のガイドライン・ポリシーを作ることは、企業を守るだけでなく、従業員を守ることにもつながります。また、企業のマーケティングの手段として効果の高いソーシャルメディアを安全に利用できることは、収益アップのためにも重要です。
分かりやすいガイドライン・ポリシーを作成し、安全・安心にソーシャルメディアを有効利用しましょう。