ゲームクリエイターを志す人なら一度は「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」の名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。ゲームのオープニングでUnreal Engineの文字・ロゴを見たことがある人もきっと多いはず。

本稿では、これからゲームクリエイターを目指す人に向けて、Unreal Engineの概要やできることを解説していきたいと思います。

 

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Unreal Engineとはどんなもの?

Unreal Engine(略称:UE)は、米国のEpic Games社が開発したソフトウェアです。「Unity」と並んで、世界でもっとも使用されているゲームエンジンとされています。

ゲームエンジンとは、一言で表すと、「ゲーム制作に必要なソフトがすべて揃った開発プラットフォーム」のこと。ゲームエンジンが開発される前は、ゲーム開発会社は各社が独自に作った開発エンジンを用いてゲーム開発を進めていました。

そのため、他社に転職した際はその会社独自の規格をインストール必要があったり、新たにゲーム開発をする時は開発エンジンから開発する必要があったりと、多くの問題が存在していました。

そこで、「ゲーム開発を民主化しよう!」と生まれたのがゲームエンジンです。その中でも、UnityとUnreal Engineがほとんどのシェアを占めています。

👉【入門者向け】ゲームエンジン「Unity」とは?特徴やUnreal Engineとの違いも解説

Unreal Engineは無料で利用できる?

なんと、Unreal Engineは無料で利用できます。2022年5月現在は、Unreal Engine 5が最新バージョンとなります。2014年のUnreal Engine 4の発売当初はサブスクリプション型の課金形式でしたが、2015年以降は基本的に無料で使用できるようになりました。学生や個人でゲーム開発をするクリエイターにとってはありがたいですね。

ただし、四半期の売り上げが$3,000(およそ35万円)以上の場合は5%のロイヤリティをEpic Games社に支払う必要があります。法人でゲーム開発をする企業はこのように課金しているというわけです。

Unreal Engineが注目されている理由

Unreal Engineはどうして現在注目を集めているのでしょうか。ポイントは「直感的な操作性」が大きいです。プログラミング経験がない人でも扱いやすいツールと言われており、高度なグラフィックス、リアルタイムレンダリング、VR/ARサポートなど幅広い機能を直感的に操作することができます。

こういった「使いやすさ」と「高い機能性」を両立しているのがUnreal Engineが注目を集める理由です。

 

Unreal Engineで何ができるの?

それでは、Unreal Engineを使えば何ができるのかを解説していきたいと思います。

プログラミングなしでゲーム開発ができる

Unreal Engine最大の特徴は、プログラミングをしなくてもゲーム開発ができる点にあるといえるでしょう。
「ブループリント ビジュアル スクリプティング システム(通称:ブループリント)」という事前に設定されたアクション(機能や動作)を利用すれば、任意の演出をプログラミングしなくても実装できます。

ブループリントのバリエーションも非常に多様で、ゲーム開発をする上で必要なアクションはほとんど網羅されているので、専任のプログラマーに依頼しなくてもゲームをつくっていけます。

2D/3Dのキャラクター制作

出典:Unreal Engine

Unreal Engineを使えば、2Dの平面なキャラクターを制作、そして3Dのキャラクター制作ができます。
特に、Unreal Engineはリアルな3Dキャラクターの制作に強みを持っています。
皮膚の質感や、架空の世界のモンスターの毛皮、人間キャラクターの髪の毛の一本一本まで、豊富なデータベースからパーツを選択することで自由自在にキャラクターをつくることができます。

Unreal Engineは、デフォルトで50人分のデジタルヒューマンのデータがプリインストールされているため、コツコツと1からキャラクターパーツを作成していく必要はありません。
パーツの組み合わせ方は無限にあるため、はじめからあるパーツを組み合わせるだけで、かなり多様なキャラクターを生み出せます。

ワールドの制作

出典:Unreal Engine

キャラクターが動く上で、舞台となるワールド(世界)の制作は欠かせません。

「ランドスケープツール」「グラスツール」「ウォーターシステム」などを使えば、リアルな山や海や川、砂漠のようなワールドを構築できます。これらを用いて作ったワールドの中に、キャラクターを配置して動かすわけです。

また、リアルなワールドを爆発させたり崩壊させたりできるような機能もあり、リアルなものからファンタジーなものまで、さまざまな表現を追求できます。

3Dアニメーションの制作

出典:Unreal Engine

ブループリントを用いれば、ワールドにキャラクターを配置し、キャラクターに動きをつけることができます。

このキャラクターの動きを「シーケンサー」というツールを使うことで、カメラとして撮影したり、つなげたりすることでアニメーションムービーとして編集できます。BGMを加えたり、尺を変更したり、動画を編集していくことで、迫力あるムービーを自分の手でつくることができます。

外部ソフトウェアとの連動

Unreal Engineにもさまざまなキャラクターやワールドの素材テンプレートが用意されていますが、外部ソフトウェアとの連動も可能です。

たとえば、「3ds Max」「Maya」「Revit」「SketchUp Pro」などのソフトで作った3Dキャラクターやパーツなどのデータを、シームレスの連動させ、変換・統合できます。

制作したゲームをさまざまなデバイスで楽しめる

Unreal Engineは、「マルチプラットフォーム開発環境」という、さまざまなデバイスで楽しめる仕様になっているため、PCだけでなくスマートフォンや各種ゲーム機でプレイできます。

具体的には、以下のデバイスで視聴したりプレイしたりできます。

iOS/Androidのモバイルデバイス/Windows/MacOS/Linux/PlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X/Nintendo Switch

Unreal Engineが使用されているケースとは

Unreal Engineは、ゲーム以外でも幅広いフィールドで活用されています。

たとえば、医学アニメーションの制作や、バーチャル展覧会やバーチャル音楽フェス、BTSのコンサートのホログラム映像などなど。

ちなみに近年のUnreal Engineが使われているゲームだと以下のような作品が挙げられます。

・エースコンバット7 スカイズ・アンノウン
・ヨッシークラフトワールド
・スター・ウォーズ ジェダイ:フォールン・オーダー
・実況パワフルサッカー
・フォートナイト
・ドラゴンボールZ KAKAROT
・ドラゴンクエストXI
・FANTASY Ⅶ REMAKE
・キングダムハーツ3
・鉄拳7
・ストリートファイターⅤ

 

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Unreal Engineの使用方法

インストール方法

まずは基本のインストール方法です。

  • まずはEpic Gamesのサイトにアクセスし、アカウント登録をします
  • 続いて、Unreal Engineのウェブサイトにアクセスし、「Epic Games Launcher」の最新バージョンをインストールしましょう
  • Epic Games Launcherを開いてログインし、「Unreal Engine」タブからインストールボタンを押し、Unreal Engineをインストールします

初期設定

インストールした後は実際にUnreal Engineを操作してみましょう。

  • Unreal Engineのショートカット、もしくはEpic Games Launcherの右上の「起動」からUnreal Engineを起動しましょう
  • 起動時、「ゲーム」「映画・テレビ・ライブイベント」「建築、土木、建設」など制作したいプロジェクトを選択しましょう。今回は「ゲーム」を例に説明します。
  • 続いて、「ファーストパーソン」「フライング」「パズル」「ローリング」などからテンプレートを選択します。
  • 次に、プロジェクト設定です。これから初めてプロジェクトを作成する場合は「新規プロジェクトを作成」します。

基本の操作方法

続いて、基本的な操作方法の紹介です。

  • レベル:ゲームに登場する要素を作る画面です。
  • アクタ配置パネル:ゲームに登場するキャラクターのことです。こちらのキャラクターをレベルに配置します。
  • コンテンツブラウザ:ゲームを構成する素材「アセット」の追加・編集・削除ができる画面です。
  • アウトライナ:レベル内のアクタを管理する画面です。
  • 詳細:アウトライナで選択したアクタの詳細を見ることができます。

Unreal Engineを使用する際の注意点とは

便利で高機能なUnreal Engineですが、使用する上で注意したほうがいいポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。

開発者向けの情報は英語が多め

Unreal Engineは開発者向け情報が英語のものが多いと言われることがしばしばあります。

公式で基本操作からチュートリアルまで一通りの日本語資料がリリースされているので、ベースはそちらを使用すれば問題ないでしょう。

しかし、開発者向けのよりディープな内容は英語が理解できると、検索の幅が広がったり、公式コミュニティにおいて海外の開発者同士のコミュニケーション内容が理解できたりするので、英語力があったほうがベターではあります。

deepLなどの翻訳ツールを使うという手もあるので、英語力が高くない人は工夫していきましょう。

PCのスペックには気をつけよう

Unreal Engineだけでなく、動画編集ソフトなどにも共通する点ですが、ゲーム開発はPCが大量のデータを扱うため、高いスペックが求められます。

最新の推奨環境はこちらのページにて更新されているのでチェックしましょう。

ネットで推奨されるPCを探すときは「ゲーミングPC」というリアルタイムで大量のデータ通信がなされるオンラインゲームをするのに最適なPCを探すのがよいでしょう。

操作難易度が高い?

Unreal Engineは同じゲームエンジンでスマートフォンゲームなどにより強みを持つUnityよりも、操作の難易度が高いと言われることがあります。

Unreal Engineは高クオリティの3Dゲームの制作などに向いている分、機能の数や求められる操作が複雑な点はあるかもしれません。しかし、しっかりとチュートリアルを経て、慣れていけば徐々にマスターできるので、諦めずにトライしましょう。

困ったら、開発者同士のコミュニティページで質問すれば、他のユーザーが回答してくれます。

 

Unreal Engine5の新機能とは

2022年5月現在、最新バージョンであるUnreal Engine 5にはどのような機能が搭載されているのでしょうか。代表的なものを紹介します。

Nanite(ナナイト)

Unreal Engineは「Nanite」という、仮想化マイクロポリゴンジオメトリと呼ばれ、地形に用いるポリゴン表現に仮想化を用いた技術を新機能として追加しました。
過去のUnreal Engine 4以前より、扱えるポリゴンの数が大幅に増えました。これによって、よりリアルなワールドやキャラクターを制作できるようになります。

数十億ポリゴンの映画品質のソースアートであっても、UE5に直接インポートできるため、クリエイターは、ポリゴン数やメモリの制限を気にせずに表現を追求できます。

Lumen(ルーメン)

Lumenは、Unreal Engine 5の新機能であり、動的なグローバルイルミネーション(GI)や反射を計算できる機能です。

すなわち、この機能を使えば、光の反射や散乱などを、光源の角度や強さの変化に対して動的に表現できるようになり、よりリアルな光の表現ができるようになりました。

Unreal Engine 4以前は、ライティングの作成に大幅に時間をかかることも多かったですが、Lumenの登場によってよりスピーディに幅広い表現を実現できるようになりました。

 

Unreal Engineの勉強法は?独学は可能?

Unreal EngineはPCとソフトウェアさえあれば誰でも扱えます。勉強法として独学で教本を買って実施する方法もあれば、スクールで学習する方法もあります。個人で独学で勉強するための書籍や情報は世の中に出回ってはいるものの、Unreal Engineはまだまだ日本国内向けの情報が少ないという声を聞くことも多いです。また独学だとなかなか詳しい人に相談したり質問するのも難しく、一人で悩んだり、勉強をやめてしまうことも多いです。そんな方にはスクールでプロフェッショナルから教わることをおすすめします。

 

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ここまで、Unreal Engineについての概要や特徴を解説してきました。

3DCGの映像やゲーム開発は複雑な機能や思考が求められるため、決してかんたんではありません。一方で、世界中の人を楽しませるコンテンツが作れたときの喜びは他の何物にも替えられないでしょう。

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まとめ

本稿では、Unreal Engineについて解説してきました。ゲームが好きで、これから開発者側にまわりたい!という方は、ぜひともチャレンジしてみてください。

デジハリ・オンラインスクールでは、未来のクリエイターであるあなたを応援しています。