最近の映像コンテンツでは、実写のテレビドラマにも一部CGを使った作品が登場するなど、CGを使用していない作品を見つけることができないほど、CG技術は広く求められる技術となりました。
CG業界で、実際に自分が作ったキャラクターを動かしたい、自分のアイデアを映像作品にしたい、という夢を持つ方もたくさんいるのではないでしょうか。
そのような夢と向き合うためにも、CGデザイナーのなり方や仕事内容を見ていきましょう。
CGデザイナーの仕事内容は?
CGデザイナーは、パソコンを使用して、コンピューターグラフィック(CG)と呼ばれる2Dもしくは3Dのグラフィックを制作することが仕事です。
CGデザイン業界には、全工程を一貫して担当するジェネラリストと、それぞれの工程を独立して担当するスペシャリストの2つのタイプが存在します。
ジェネラリストの道に進むと、小規模案件を受託する会社としての独立や、直接的に広告代理店などと取引を行い、経営者としての方向に進む方もいます。また、大きなCG制作会社で大型案件を一貫して指揮、統括する、CGプロデューサー、CGディレクターといった役職につき、どうやって原作をCGで再現するかを決定する仕事を任される方もいます。
スペシャリストは、アニメーターとしての腕を磨き、海外の大手スタジオへの転職や、特定の工程のみを受託するフリーランス、または技術開発、CG制作のコンサルティング、若手の育成、などの方向へとキャリアップする方が多いようです。
「将来は自分の作品を自分の手で作りたい!」という夢をかなえるためには、全工程のスキルを高めていくジェネラリストとしてのキャリアをとる方が良いと考えられています。一方で、「世界中でファンがいるような大きな作品に関わりたい!」という方はスペシャリストの道を進むと良いでしょう。
CGデザイナーの年収はどれくらい?20代〜40代の目安
気になるCGデザイナーの給与ですが、新卒採用募集の相場は、月給20万円前後が一般的です。さらにキャリアを積み、ディレクターやシニアデザイナー、プロデューサーなどのポジションにつけば、年収700~1,000万円程度の給与を目指せるでしょう。
スキルを得て経験と人脈を築くことで、独立し、フリーランスとして活躍しているCGデザイナーの方も多くいるため、フリーランスとして将来的に高収入を得る道もあります。
また、CG制作のスキルは日本だけではなく、世界中で通じるスキルです。スキルを高めていくことで、海外のCGスタジオや映像制作会社で働く道もあるでしょう。努力次第では、将来的にハリウッドのスタジオで活躍することも夢ではありません。
年代とともに年収は上がっていく傾向あり
これは他業種でも同様のことがいえそうですが、経験値を積んで、プレイヤーやマネージャーとして、また独立してフリーランスや経営者などキャリアを切り開いていくことで年収アップが見込めます。
あくまでも一例ですが、20代では年収250~400万ほど、30代になって350万〜550万、40代で500~700万とアップしていくケースもよく見られます。ただ、これは年功序列的な、年齢が上がる=年収が上がるではなく、しかるべき経験とスキルが伴ってのものであると認識しておきましょう。
また、独立する=年収アップと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、たしかに年収レンジは大きく上がることもあるものの、反対に継続的な案件が獲得できない場合は会社員時代以上に苦労することもあると覚えておきましょう。
CGデザイナーの給料・年収の特徴
それでは、CGデザイナーの給料や年収を決めるポイントはどのようなところにあるのでしょうか。
スキルによって年収が大きく変わる
CGデザイナーはダイレクトにアウトプットが世の中に出る仕事です。同じ案件を扱っていても、よりハイクオリティなCGを制作できる人の方が評価される世界です。
また、CGデザイナーは様々なステークホルダーと一緒に仕事をしていく職業です。CGデザインの能力だけでなく、より少ない工数でよりなめらかに仕事ができる人、プロジェクトマネジメントや対人コミュニケーションに長ける人はより高い年収を得やすいです。
また、ARやVRのような最新技術への造詣が深かったり、マネジメント経験や特定業界への知識など、その人ならではの経験値や希少性の高いスキルがあるほど、付加価値として年収が高くなります。
業界や職場による差が大きい
CGデザイナーと一口にいっても、どの業界、どんな会社で働いているかは大きく影響します。たとえば、大手事業会社の中で専属のCGデザイナーで働く場合と、小規模の制作会社で働くのでは、前者の方が年収が高い可能性があります。
同じような仕事をしていても、お金がある業界とそうでない業界、その会社の収入状況などによって年収は大幅に変わるので、就職や転職活動をするときは理解しておきましょう。
業界で異なるCGデザイナーの年収!1000万を超えは可能?
業界ごとでどのような給料レンジなのかをかんたんに紹介します。
不動産業界
不動産業界では、急速にCGデザイナーのニーズが高まっています。まだ完成していない住居をCGでデザインすることで顧客を訴求したり、室内イメージをCGで表現したりと用途は多岐にわたっています。
ただ、大企業でない限り、CG制作のみに特化したデザイナーを置くのは難しいこともあるので、Webデザインやグラフィックデザインのスキルがあるとさらなる年収アップや転職難易度を下げることができます。
不動産業界は、大規模のビルの開発を扱う大企業から街の不動産業者さんまで幅広く、年収レンジもさまざまです。
だいたい350~700万ほどのケースが多いでしょう。
ゲーム制作会社
ゲーム制作にはCGデザインは欠かせません。いかにキャラクターや背景など作品の魅力を際立てる、違和感ないCGを制作するかがダイレクトに問われます。
ゲーム制作会社は誰でも知っているような大手企業から小規模の制作会社で大きく年収が変わります。大手の外資企業など、クリエイターに高い報酬を払う会社は1000万を超えることもありますが、反対に労働条件の割に300万ほどしかもらえない…ということもあるので、よく見極めましょう。
デザイン制作会社
デザイン制作を受託する会社のCG部門として働く場合の年収はだいたい300~550万ほどが相場です。マネジメントとしてチームやプロジェクトを統括すれば700万ほどになることもありますが、幅広いデザインを担う受託系の制作会社だと、業界知識が問われ大きなお金が動く不動産業界や高い専門性が求められるゲーム業界よりは年収は低いことも多いです。(もちろん、会社によります)
正社員以外のCGデザイナーの給料・年収
続いて、正社員以外にはどのような働き方があるのか、その収入はどれくらいなのかをまとめます。
フリーランス
ある程度実績を積んだCGデザイナーはフリーランスになることも多いです。フリーランスは請求管理や確定申告などのバックオフィス的業務を自分でやる必要があったり、案件獲得から運用までをすべて自分で担う必要があります。
リモートワークなど働き方の融通は効きやすいですし、年収は安定的に案件があれば1000万を超えることもできます。一方で、自分以外に替えが効かなかったり、案件がなくなってしまった場合は大きく収入に影響が出るなどのリスクもあります。
収入レンジとしてはピンキリで、年収250万の方もいれば1000万を上回るクリエイターもいます。
また、最近の副業解禁の流れを受けて、副業として個人の案件を会社員とは別で個人事業主として受ける人もいます。
アルバイト
アルバイトの場合は、基本的に事務的な作業を担うことが多いです。最低賃金の引き上げなどもあり、時給にすると1000~2000円ほどが相場です。
正社員登用制度がある会社もありますし、将来的にCGデザイナーとして働きたい方が、最初の一歩として挑戦するには良いのかもしれません。
派遣社員
派遣会社に登録をして、CGデザイナーの会社に派遣されて働くケースです。こちらも、基本的には直接的にアウトプットに関わる仕事というより、社内のコミュニケーションや請求管理などの事務的な仕事を担うことが多いです。
年収としては、300~400万ほどが多いです。
CGデザイナーとして年収を上げるには?
CGデザイナーとしてキャリアアップして、年収を高めるにはどうすればいいのでしょうか。
社内でCGデザイナーとしての実績を積む
これがもっともスタンダードな方法ですね。CGデザイナーとしてプレイヤーとして実績を積み、世の中に評価されるようなアウトプットをしていくことで、収入をアップさせるパターン。また、チームのマネージャーとして、よりよい成果が出せるような仕組みを作っていくパターンもあります。
副業で収入をアップさせる
最近は会社に所属しながら、副業で稼ぐCGクリエイターも増えてきています。
まだまだ副業禁止の会社も多いとは思いますが、上手く副業を活用すれば、収入だけでなくそこでしか得られない経験も得ることができます。
個人のSNSで積極的に発信するなどで、このあたりのチャンスも生まれやすくなるでしょう。
より条件のよい会社へ転職する
転職は年収アップの方法としてはわかりやすいですね。業界やポジションを変えることでより高い年収の会社へ転職し、年収をアップさせるパターンです。
ただ、転職=年収アップではありませんし、同じ会社で長くいたほうがキャリアアップしやすいこともたくさんあります。収入がすべてではありませんし、総合的な自分にとっての働きたい環境を考えて転職しましょう。
転職で年収アップを目指すなら、実績とスキルが不可欠
転職して年収アップさせたい!と考えるのはかんたんですが、アウトプットがダイレクトに世の中に出る仕事だからこそ、実力がなくてはよりより転職先には行けません。
CGデザイナーと聞くと、アートのような領域をイメージする人もいるかもしれませんが、緻密な設計や細やかな対人コミュニケーションの蓄積で仕事は成り立っています。
もちろん、大きすぎるストレスを抱えて働いて心身を壊してしまうのは言語道断ですが、まずはある程度の実績を作ってから、転職を検討するようにしましょう。
スペシャリストか?ゼネラリストか?マネージャーか?
CGデザイナーのキャリアには大きく分けて以下のようなパターンがあります。
スペシャリストは、その名の通り、特定領域に特化したトッププレイヤーとしてユーザーに価値を届ける仕事。
ゼネラリストは、複数領域に得意分野を持ち、マルチに活躍するプレイヤー。
マネージャーは、チーム全体を牽引し、最大のパフォーマンスを生むための方法を考える人。
これらの役割は、会社の状況や規模などによっても大きく変わります。
役割はそれぞれ別ですが、どのパターンが自分にマッチしてそうかを考えながら働くのはキャリアアップを考える上で大事です。
ゲーム業界ではCGデザイナーのニーズが急激に高まっている
近年はデジタル・トランスフォーメーション(DX)の進行や、新型コロナウイルスによる家で過ごす時間が長くなったことで、ゲーム業界はますます盛り上がりを見せています。
日本の産業の中でも、ゲーム業界は重要な位置づけですし、ゲームを作る上ではCGデザイナーの仕事が欠かせません。
それに伴い、転職市場でもCGデザイナーのニーズはどんどん高まっているため、現在なかなかホットな職業といえるでしょう。
CG制作のプロセス全てを学べる環境が必要
将来的にどのような現場で働くとしても、まずは、CG制作の全工程ができるように基本的なCG制作全般の学習を行いましょう。全工程を学ぶには、1~2年の専門学校での教育が必要とされていますが、卒業後すぐに第一線で活躍できるレベルになれるわけではありません。
また、CG技術の習得には、プロの目線からのチェックと指導が欠かせません。独学でのCGスキルの習得では実際には違和感のある動きや、大きな印象の違いを出すための小さなポイントなどに気付けないままの映像制作となってしまい、非効率な学習となります。
このような事情を踏まえると、CGデザイナーになるには、最新のソフトウェアや設備がそろい、現場の第一線で活躍している方が講師となっているような、専門学校での学習がおすすめです。
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まとめ
CG制作の技術はまだまだ進化の途中であり、CGが使われる範囲も拡大し続けています。キャリアや年収など、ここで述べたことはあくまでも現状にすぎません。変化の激しい業界ですが、映像作品で夢や文化を創っていくエキサイティングな仕事であるCGデザイナーは、魅力的な職業の1つです。