企業や個人の世界観や魅力を伝えるWebサイト。
Webサイトの制作を担うWebデザイナーの仕事に興味を持つ人は多いのではないでしょうか。本稿では、これからWebデザイナーを目指す方に向けて、未経験からキャリアを築いたり、就職・転職につなげるためのポイントをまとめて解説します。
Webデザイナーとは何か
Webデザイナーは、企業や個人のWebサイトをデザインする専門職です。
見た目の美しさだけでなく、使いやすさや情報の伝わりやすさを考慮しながら、訪問者にとって価値のあるWebサイトを作り上げます。
具体的には、サイト全体のレイアウトや配色、フォントの選定、画像の配置などを決定し、HTML/CSSなどのコーディングまで行うケースも多くあります。
インターネットが生活に欠かせない現代において、Webデザイナーの需要は年々高まっており、未経験からでも十分にキャリアをスタートできる職業として注目されています。
Webデザイナーに求められるスキル
Webデザイナーには、デザインセンスだけでなく、技術的なスキルやコミュニケーション能力など、幅広い能力が求められます。
これらのスキルを身につけることで、プロフェッショナルとして活躍できるようになります。
グラフィックに関するスキル
美しいビジュアルを作り出すためには、色彩理論や構図、タイポグラフィなどの基礎知識が不可欠です。
例えば、暖色系は親しみやすさを、寒色系は信頼感を演出するなど、色が与える印象を理解し、適切に活用する力が求められます。
タイポグラフィに関するスキル
文字は情報を伝える重要な要素であり、フォントの選択一つでWebサイトの印象は大きく変わります。
明朝体は上品で落ち着いた印象を、ゴシック体はモダンで視認性の高い印象を与えるなど、それぞれの特徴を理解することが大切です。
また、文字の大きさや行間、字間の調整により、読みやすさを向上させる技術も必要となります。適切なタイポグラフィを選ぶことで、ユーザーにストレスを与えることなく情報を伝えることができるのです。
レイアウトに関するスキル
情報を整理し、ユーザーが迷わずに目的の情報にたどり着けるような構成を考える力が必要です。
F型やZ型といった視線の動きを意識したレイアウトや、グリッドシステムを活用した整然とした配置など、理論に基づいたデザインができることが重要となります。
また、スマートフォンやタブレットなど、様々なデバイスに対応したレスポンシブデザインの知識も欠かせません。
画面サイズに応じて柔軟にレイアウトを変更する技術は、現代のWebデザインには必須といえるでしょう。
コーディングに関するスキル
デザインを実際のWebサイトとして形にするためには、HTML/CSSの知識が必要です。
最近では、JavaScriptを使った動的な表現も求められることが増えており、基礎的なプログラミング知識があると仕事の幅が広がります。
コーディングに関するスキル
CSSフレームワークやプリプロセッサーの活用により、効率的にコーディングを進める技術も重要です。
BootstrapやTailwind CSSなどを使いこなすことで、開発スピードを向上させることができます。
コーディングに関するスキル
GitなどのバージョンI管理システムの使い方も覚えておくと良いでしょう。チームでの開発では必須のスキルとなっており、コードの変更履歴を管理したり、複数人での同時作業を可能にしたりします。
その他のスキル
SEO(検索エンジン最適化)の基礎知識も大切です。いくら美しいデザインでも、検索結果に表示されなければ意味がありません。
適切なタグの使用や、ページの読み込み速度の最適化など、技術的なSEO対策を理解しておく必要があります。
その他のスキル
UI/UXデザインの考え方も身につけておくべきでしょう。ユーザーインターフェース(UI)は見た目のデザイン、ユーザーエクスペリエンス(UX)は使い心地や体験全体を指します。
例えば、ECサイトで購入ボタンを目立つ位置に配置したり、フォームの入力項目を最小限に抑えたりすることで、ユーザーの離脱を防ぐことができます。このような細かな配慮の積み重ねが、優れたWebサイトを生み出すのです。
その他のスキル
Webサイト制作は基本的にプロジェクトでおこなわれるものです。ただWebサイトを作ればいいわけではなくチームでのプロジェクトマネジメント能力も求められます。納期を守りながら品質の高い成果物を提供するためには、スケジュール管理や優先順位の設定が欠かせません。
また、クライアントやチームメンバーとの円滑なコミュニケーションも重要です。デザインの意図を分かりやすく説明したり、フィードバックを適切に反映したりする能力は、プロとして成功するための鍵となります。特に未経験から始める場合は、これらのソフトスキルを意識的に磨いていくことが大切です。
反対にいえば、最初はテクニカルなスキル以上に素直にフィードバックを受け入れる、納期を守る、向上心を持って継続学習する、チームとして働くうえでの気配りなどの基本的なコミュニケーション能力が重要です。
納品や作業の完了はゴールではありません。クライアントや同僚としっかり向き合い、並行してスキルアップを実現させて独り立ちしていきましょう。
Webデザイナーに必要なツール

Webデザイナーとして働くためには、適切なツールや環境を整えることが重要です。ここでは、実際の現場で使われている主要なツールについて解説します。
1. PCのスペック
Webデザインの作業には、ある程度のスペックを持つパソコンが必要です。
PhotoshopやIllustratorなどのグラフィックソフトは、メモリやCPUを多く使用するため、最低でも8GB以上のメモリ、できれば16GB以上あると快適に作業できます。ストレージはSSDを選ぶことで、ファイルの読み込みや保存が高速になり、作業効率が大幅に向上します。
ディスプレイは色の再現性が高いものを選び、できれば外部モニターを追加して作業領域を広げることをおすすめします。MacとWindowsのどちらを選ぶかは好みの問題ですが、デザイン業界ではMacを使用している人が多い傾向にあります。
2. グラフィック関連のソフト
デザイン作業に欠かせないソフトウェアには、用途に応じて様々な種類があります。それぞれの特徴を理解し、適切に使い分けることが重要です。
Photoshop
Adobe Photoshopは、写真の加工や合成、Webデザインのモックアップ作成など、幅広い用途に使用される定番ソフトです。
レイヤー機能により、要素を個別に編集できるため、修正や調整が容易に行えます。最近では、AI機能も充実しており、背景の自動削除や画像の拡張なども簡単にできるようになりました。
Illustrator
Adobe Illustratorは、ロゴやアイコン、イラストなどのベクター画像を作成するためのソフトです。
ベクター形式は拡大縮小しても画質が劣化しないため、様々なサイズで使用する素材の作成に適しています。ペンツールを使いこなすことで、オリジナルのグラフィックを自在に作ることができます。
Adobe XD
Adobe XDは、WebサイトやアプリのUIデザインに特化したツールです。プロトタイプ機能により、実際の動きを確認しながらデザインを進められるため、クライアントへの提案時にも効果的です。コンポーネント機能を使えば、ボタンやナビゲーションなどの共通パーツを効率的に管理できます。
3. コードエディタ
コーディング作業を効率化するためには、適切なエディタの選択が重要です。シンタックスハイライトや自動補完機能により、ミスを減らし、作業スピードを向上させることができます。
TeraPad
TeraPadは、シンプルで軽量なテキストエディタです。HTMLやCSSの基礎を学ぶ段階では、余計な機能がない分、コードの構造を理解しやすいという利点があります。
ただし、大規模なプロジェクトには機能が不足するため、学習初期の使用に留めることをおすすめします。
CotEditor
CotEditorは、Mac専用のテキストエディタで、日本語環境での使いやすさに定評があります。
正規表現による検索・置換機能や、カスタマイズ可能なシンタックスハイライトなど、実用的な機能が揃っています。無料で使用できるため、Macユーザーの入門用エディタとして適しています。
Atom
Atomは、GitHubが開発したオープンソースのエディタです。豊富なパッケージにより、機能を自由に拡張できる点が魅力です。例えば、Emmetパッケージを導入すれば、HTMLのコーディングスピードが飛躍的に向上します。ただし、2022年12月でサポートが終了したため、新規での使用は推奨されません。
4. IDE
統合開発環境(IDE)は、コーディングからデバッグ、バージョン管理まで、開発に必要な機能を統合したツールです。Visual Studio Codeは、Microsoft社が提供する無料のエディタで、現在最も人気があります。拡張機能が豊富で、Live Serverを使えばリアルタイムでブラウザプレビューができ、GitLensを導入すればGit操作も快適に行えます。
初心者から上級者まで幅広く使用されており、日本語化も簡単にできるため、最初に導入するエディタとしておすすめです。また、WebStormやDreamweaverなどの有料IDEもありますが、まずは無料のVS Codeから始めて、必要に応じて検討すると良いでしょう。
未経験からWebデザイナーになる方法

未経験からWebデザイナーを目指す場合、体系的な学習計画と実践的なスキル習得が重要になります。ここでは、効果的な学習方法について詳しく解説します。
独学で学ぶ方法
独学でWebデザインを学ぶメリットは費用をおさえやすい点です。一方で、「三日坊主になりやすい」というデメリットや困った時に質問ができずに学習効率が落ちてモチベーションが下がりやすい点が挙げられます。
独学の場合、まずHTML/CSSの基礎から始めることが大切です。市販の教本を活用すると良いでしょう。
「1冊ですべて身につくHTML & CSSとWebデザイン入門講座」などの書籍は、初心者にも分かりやすく体系的に学べる内容となっています。
デザインの基礎を身につける
デザインセンスは生まれつきのものではなく、理論と実践により身につけることができます。
「なるほどデザイン」や「ノンデザイナーズ・デザインブック」などの本を読み、デザインの4原則(近接・整列・反復・対比)を理解することから始めましょう。また、優れたWebサイトを数多く見て、なぜそのデザインが優れているのかを分析する習慣をつけることも大切です。
ポートフォリオサイトの作成
学んだスキルを形にするため、自分のポートフォリオサイトを作成しましょう。
架空の企業サイトやランディングページなど、様々なタイプのデザインに挑戦することで、実践的なスキルが身につきます。GitHubなどでコードを公開することで、技術力のアピールにもつながります。制作過程での課題や解決方法も記録しておくと、面接時の話題として活用できます。
コミュニティへの参加
オンラインやオフラインのデザインコミュニティに参加することで、最新のトレンドや技術情報を得ることができます。
XやFacebookのWebデザイナーグループ、connpassなどで開催される勉強会に参加すれば、現役デザイナーから直接アドバイスをもらえる機会もあります。同じ目標を持つ仲間との交流は、モチベーション維持にも役立ちます。
資格取得という選択肢
Webデザインに関連する資格として、ウェブデザイン技能検定やWebクリエイター能力認定試験などがあります。
資格自体が就職を保証するものではありませんが、体系的な知識を身につける良い機会となります。特に未経験者の場合、基礎知識を持っていることの証明として活用できるでしょう。ただし、実務では資格よりも実際の制作スキルが重視されるため、資格取得だけに偏らないよう注意が必要です。
スクールに通うメリット
独学には限界があり、効率的にプロレベルのスキルを身につけるには、専門スクールの活用が有効です。体系的なカリキュラムと経験豊富な講師陣による指導は、確実なスキルアップにつながります。
費用はかかるものの、卒業後の就職支援や横のつながりが生まれることでモチベーション持続しやすいなどのメリットもあります。
カリキュラムが体系的に組まれている
スクールでは、初心者でも無理なく学習を進められるよう、段階的にスキルを習得できるカリキュラムが用意されています。
基礎から応用まで、必要な知識を漏れなく学ぶことができ、独学でありがちな「何から始めればいいか分からない」という悩みを解消できます。また、現場で実際に使われている最新の技術やツールについても学べるため、即戦力として活躍できる力が身につきます。
プロの講師から直接指導を受けられる
現役のWebデザイナーやディレクターから直接指導を受けられることは、スクールならではの大きなメリットです。
実務で培った経験やノウハウを学べるだけでなく、作品に対する的確なフィードバックをもらうことで、効率的にスキルを向上させることができます。また、業界の最新動向や求められるスキルについても、リアルタイムで情報を得ることができるため、時代に即した学習が可能となります。
悩んだ時に「わかる人にすぐ質問できる」というのは未経験者としての学習モチベーションにもつながりやすいです。
就職・転職サポートが充実している
多くのスクールでは、キャリアカウンセリングや企業紹介、面接対策など、就職・転職活動を総合的にサポートする体制が整っています。
業界とのパイプを持つスクールであれば、一般には公開されていない求人情報を紹介してもらえることもあります。また、卒業生のネットワークを活用できるため、実際の職場環境や仕事内容について、生の声を聞くこともできます。このようなサポートは、特に未経験者にとって心強い味方となるでしょう。
未経験でも就職を成功させるコツ
未経験からWebデザイナーとして就職するためには、戦略的なアプローチが必要です。まず重要なのは、自分の強みを明確にすることです。
前職での経験やスキルが、Webデザインの仕事にどう活かせるかを考えてみましょう。例えば、営業職の経験があれば「クライアントの要望を的確に理解し、提案できる」、事務職の経験があれば「細部まで正確な作業ができる」など、アピールポイントは必ずあります。
次に、継続的な学習姿勢を示すことが大切です。技術の進歩が速い業界なので、常に新しい知識やスキルを吸収する姿勢は高く評価されます。勉強会への参加記録やオンライン講座の修了証明など、学習への取り組みを可視化することも効果的です。
さらに、実際の制作物を通じて実力を証明することが重要です。クオリティの高いポートフォリオを作成し、デザインの意図やこだわりポイントを説明できるようにしておきましょう。数よりも質を重視し、ターゲットや目的を明確にした作品を揃えることで、実務への理解度をアピールできます。
未経験から実務経験を積むには

実務経験がないことは、未経験者にとって最大のハードルですが、工夫次第で経験を積む機会は作ることができます。
クラウドソーシングを活用する
ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサービスでは、小規模な案件から始めることができます。
最初は単価が低くても、実績を積むことを優先し、徐々にスキルと信頼を高めていくことが大切です。クライアントとのやり取りや納期管理など、実務に必要なスキルも同時に身につけることができます。
知人や地域の事業者から仕事を請け負う
身近な人脈を活用することも有効な方法です。友人の個人事業や地域の小規模店舗など、Webサイトを必要としている人は意外と多くいます。
最初は無償や低価格でも構わないので、実際のクライアントワークを経験することで、実務の流れを理解できます。完成したサイトは、許可を得てポートフォリオに掲載することもできます。
インターンシップに参加する
Web制作会社やデザイン事務所でのインターンシップは、実務を体験できる貴重な機会です。
短期間でも現場の雰囲気や仕事の進め方を学ぶことができ、そのまま正社員として採用されるケースもあります。大学生だけでなく、社会人向けのインターンシップを実施している企業もあるので、積極的に探してみると良いでしょう。
Webデザイナーの働き方
Webデザイナーの働き方は多様化しており、自分のライフスタイルに合わせて選択することができます。
正社員として企業で働く
Web制作会社やIT企業、一般企業のWeb担当部署など、正社員として働く選択肢があります。
安定した収入と福利厚生が魅力で、先輩デザイナーから学べる環境も整っています。チームで大規模なプロジェクトに携わることができ、幅広い経験を積むことができます。
一方で、クライアントや納期に縛られることも多く、業界的にはまだまだ残業が発生しやすい傾向もあります。
しかし、最近では働き方改革の影響で、リモートワークやフレックスタイム制を導入する企業も増えており、ワークライフバランスを重視した働き方も可能になってきています。
新卒や第二新卒での就職はもちろん、未経験からの転職でも、しっかりとしたスキルとポートフォリオがあれば十分にチャンスはあります。
最近は副業OKの会社も増えてきており、会社員としてのメリットを享受しながら、会社とは別で個人で収益を得ながら働く働き方も増えてきています。
フリーランスとして独立する
フリーランスのWebデザイナーは、自由度の高い働き方ができることが最大の魅力です。
案件や働く時間、場所を自分で選択でき、努力次第で収入を大きく伸ばすこともできます。子育てや介護など、家庭の事情に合わせて仕事量を調整できるため、ライフステージの変化にも柔軟に対応できます。
ただし、営業活動から経理業務まですべて自分で行う必要があり、安定した収入を得るまでには時間がかかることもあります。実務経験を積んでから独立するケースが一般的ですが、スキルとやる気があれば、未経験からフリーランスを目指すことも不可能ではありません。
クラウドソーシングやSNSを活用して実績を積み重ね、徐々にクライアントを増やしていく方法もあります。重要なのは、技術力だけでなく、コミュニケーション能力や自己管理能力を高めることです。
また、営業や請求書のやり取り、確定申告などもすべて自分でやる必要があるので基本的な自己管理能力やビジネススキルも問われます。
Webデザインを学ぶならデジハリ
デジタルハリウッド・オンラインスクールは、1994年の開校以来、クリエイティブ業界に多くの卒業生を輩出してきた実績あるスクールです。
Webデザイナー講座では、未経験からでもプロとして活躍できるスキルを身につけることができます。オンライン完結型なので、仕事や家事と両立しながら、自分のペースで学習を進められます。現役クリエイターによる実践的な講義と、24時間利用可能な学習システムにより、確実にスキルアップできる環境が整っています。
卒業後の就職・転職サポートも充実しており、多くの卒業生が最前線のクリエイターとして活躍しています。
まとめ
Webデザイナーは、創造性と技術力を活かして働ける魅力的な職業です。
未経験からでも、適切な学習方法と継続的な努力により、プロフェッショナルとして活躍することは十分可能です。独学での学習も可能ですが、効率的にスキルを身につけ、確実に就職・転職を成功させたいなら、専門スクールの活用がおすすめです。
まずは自分に合った学習方法を見つけ、第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。Webデザイナーとしての新しいキャリアが、あなたを待っています。
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