Webサイトの制作後にクライアントからクレームを受けることや、制作中に要望が追加されて作業が増えたといった話はよくあります。これらを防ぐには、事前の打ち合わせでしっかりクライアントの要望を把握することが大切です。クライアントの要望をもれなく聞き出すために、Webデザインヒアリングシートを作成しましょう。
ヒアリングシートとは
ヒアリングシートは、クライアントの希望するWebサイトの目的や内容について要望を聞き取りする質問リストです。制作後のクライアントからのクレームは、制作内容の事前合意が十分にできていなかったことが原因である場合が多いです。打ち合わせでしっかりヒアリングすることで、クライアントの要望や考えを把握しておきましょう。
また、打ち合わせで合意した内容で制作を進めたという証拠にもなるため、ヒアリングシートの作成は重要です。
Webデザインヒアリングシートの項目例と回答例
1.Webサイト制作の目的や背景(コンセプト)
何の目的で、どのような背景でサイトを構築するのかを質問します。同時に新規のWebサイトなのか、既存Webサイトのリニューアルなのかを確認しましょう。Webサイト制作のコンセプトや方向性を知るための重要な質問です。
2.Webサイトの種類
制作するWebサイトは、コーポレートサイト・製品紹介サイト・ECサイトなど、どの種類に分類されるか確認します。ただし、Webサイトの種類に詳しくないクライアントもいるため、質問する際はWebサイトの種類を簡単に説明するとクライアントが理解しやすいでしょう。
3.期待する効果
Webサイトを制作することでクライアントが期待する効果は、目的や背景と同様に何のためのサイトかという、Webサイトの方向を決めるのに重要なポイントです。
具体的な期待する効果例としては、アクセス数(流入数)の増加や企業のブランドイメージのアップ、店舗への来店率のアップ、売り上げのアップ、会員登録数のアップなどが考えられます。
4.競合サイトや競合商品の有無
制作するWebサイトと競合する他社のWebサイトや競合商品の有無を聞き、他社サイトとどのような違いが必要か、もしくはここは同じようにしてほしいといった要望を把握するための質問です。
5.ターゲットや読者イメージ
想定しているユーザーの性別や年齢層だけでなく、「就活中の大学生」「車の購入を考えているファミリー層」などターゲット像をより具体的に掘り下げて聞きましょう。
6.デザインのイメージ
Webサイトのデザインイメージは、言葉で説明してもうまく伝わらないことがありますから、事前に作成したラフ(たたき台案)や既存のWebサイトをモデルケースとして提示して、クライアントの持つイメージを具体的に理解するように努めましょう。
具体的なデザイン面では、メインカラーとサブカラー、トーン&マナー、フォント、写真(内容だけでなく、クライアントが提供するのか、制作側で用意するのか)、動画コンテンツの有無なども打ち合わせで決めることが必要です。
ここで細かい点まで質問することで、後日のクライアントへの問い合わせが減り、同時に修正作業も減ることにつながります。
7.管理・更新作業に関して
Webサイト制作後の管理や更新作業は担当するのか、もしくは制作だけで終了か確認しましょう。更新作業など今後も作業が続くようなら、予算や契約期間を交渉する必要があります。
8.予算と制作スケジュール
予算と納期は、口約束ではなく文書などでお互いが合意しておくことが契約の基本です。
このときに、事前の打ち合わせにはない追加の修正作業があった場合の予算やスケジュール変更について合意することで、後々トラブルを回避できます。
9.クライアント情報
いざ制作したWebサイトに、重要な企業情報が抜けていたなどのケースがよくあります。Webサイトに掲載してほしい企業情報などの確認と資料の提供もお願いしましょう。
まとめ
Webデザインヒアリングシートを詳細に作ることで、多くの質問をクライアントにすることになりますが、クレームややり直しの作業が発生することに比べれば、事前の打ち合わせで合意しておいたほうがトラブルは少なくて済みます。ヒアリングの際は、お互いに信頼関係を築くことを前提に質問することを心掛けましょう。
また、クライアントの中にはWebサイトについて詳しくない方も多く、相談時にはWebサイトのイメージが固まってないことがあります。打ち合わせで質問を重ねることではっきりした形にしていけば、制作作業もスムーズにできるでしょう。今回の説明した質問項目例を参考にヒアリングシートを作成して打ち合わせに望んでみてください。