ゲームやアニメや映画などのエンターテインメントの世界だけでなく、不動産や医療の現場など幅広い世界で使用されている3DCG技術。

本稿では、これから3DCGを勉強したい!という方向けに、3DCGの概要や、おすすめの3DCGソフト、3DCGクリエイター・デザイナーの仕事内容についてまとめて解説していきます。

 

3DCGのイロハを学ぶ。

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3DCGとは?

3DCGとは、「3 Dimensional Computer Graphics」、すなわち3次元空間でのコンピュータグラフィックスのことです。「2D(二次元)」だと、縦と横の「面」になりますが、3D(3次元)の場合は「縦」「横」+「奥行き」の表現ができるようになり、立体的な空間に物体を形成したり動かせたりするようになります。光を当てたり、影を作ったりするといった表現も可能となります。

「白雪姫」の頃の2Dディズニー映画と、トイ・ストーリーなどの3DCGのディズニー映画を比較するとわかりやすいですね。

3DCGが立体に見える原理

3DCGが立体的に見えるのはどうしてでしょうか。

私たちの目は、左右に少し離れています。そのため、左目と右目で見る景色には微妙な違いがあります。脳はこの違いを分析して、物の奥行きや立体感を理解しています。

3DCGは、この仕組みを利用しています。コンピューターで作られた3D空間の中に物体を置き、それを2つの視点から見た画像を作ります。この2つの画像は、私たちの左目と右目が見る景色に相当します。

そして、この2つの画像を特殊な方法で表示します。例えば、3Dメガネを用いて左右の目に別々の画像を見せる方法、画面に特殊な加工をして、左右の目に異なる画像が届くようにする方法などです。

このように、左右の目に少し異なる画像を見せることで、脳は立体的な景色を認識します。これが、3DCGが立体的に見える仕組みです。コンピューターの性能が上がるにつれ、より精密で現実的な3DCGが作れるようになり、より自然な立体感を体験できるようになっています。

3DCGのオブジェクトは「縦」「横」「奥行き」の3つの座標上に存在しており、ただ立体的に見えるだけの画像とは異なり、仮想空間上でオブジェクトを変形させたり移動させたりすることで、演算され、スピーディかつ緻密に別の画像を生成できるのです。

3DCGはどのような場面で活用されている?

ゲーム、アニメ、映画、広告などは3DCGを特に見かけることが多いですよね。それだけでなく、最近では幅広い業界で3DCG技術が使用されています。

建築や不動産の世界では、家やマンションイメージを実際に3DCGに落とし込むことに使われています。電車の中で見かけるマンションの広告のイメージ図なんかがわかりやすいですね。

インテリアの世界では、実際に購入後のインテリアを部屋に置いた際の図を3DCGで作成することで、顧客にイメージをわかせやすくしています。医療の世界では、カメラでは撮影できないような臓器をCGで作成することで手術や医学生の学習の支援に活かしています。

最近ではVRやAR技術も発達しており、今後ますます3DCGは幅広い場面で使用されていくようになるのが予想されます。

3DCGの作り方は?

おおまかな3DCGの作成方法をまとめると以下のようになります。

 

① モデリング

三面図をもとにして動かしたいモデルを作ります。

② マテリアル

テクスチャを作って、モデルに貼り付けます。

③ リギング

モデルを動かすための骨(リグ)をいれ、関節部分が曲がるように設定します。リギング担当の人を「リガー」といいます。

④ アニメーション

骨が動きに合わせてモデルがなめらかに動くように設定します。アニメーション担当は「アニメーター」といいます。

⑤ レイアウト

カメラの画角を設定します。

⑥ ライティング

モデルに光を当てて陰を作ります。

⑦ レンダリング

画像を生成します。

⑧ 合成

別途作成したキャラクターや背景の素材を重ね合わせます。

⑨ エフェクト

炎や煙や煙、爆発などの特殊効果を付け足します。

 

3DCGの制作期間と予算・費用の目安

もちろん、誰がどのようなクオリティと予算で作成するのかによってこの辺りはまちまちですが、プロのCG制作会社で2週間から2ヶ月はかかります。

どこに時間がかかるのか?というと、キャラクターのモデリングに特に時間がかかります。しかし、手書きと違って3DCGでは、一度作ったモデリングを活かして、他のシーンや用途でキャラクターを動かすことができるという特徴があります。手書きのアニメーションは各キャラクター「その場面」限りになってしまいますが、3DCGの場合、使い回すことができるのです。

最近、ドラゴンボールやスラムダンクの映画などで3DCGの作品がどんどん増えているのは、こういった背景もあるのかもしれませんね。手書きは手書きでやはり味わい深いですが、効率性やアクションの迫力を考えると3DCGは便利ですし、今後さらに主流になってくるかもしれません。

予算の相場は、ゲーム、アニメ、映画、用途や長さ、求められるクオリティや技術によって価格帯は変わります。

30分のアニメ作品を作るとします。

  • アニメーター1人あたり月50万
  • 7名
  • 制作期間1ヶ月

だとすると、あくまでも一例ですが、1本あたり350万円+撮影代などが別途かかるといった感じです。

ゲームやエンタメ領域を離れた細かい作業が必要な領域の場合はアニメーターあたりの単価も30~50万ほどアップします。また、人気の制作会社やクリエイターだと単価はもっと上がることも考えられます。

 

3DCG制作をするためのソフトの選び方は?

3DCGソフトにも有料・無料それぞれたくさんの種類がありますが、具体的にどのように選べばいいのでしょうか。ポイントは以下です。

1. ソフトの得意領域

まず、3DCGソフトを選ぶときは、自分が作りたいものを明確にしておきましょう。

キャラクター製作に特化したソフト、建築、景観に専門性があるソフトなど、用途によって適したソフトは異なります。

また、個人の趣味の範囲なのか、プロとして仕事で使うソフトかによっても求められるレベルは変わります。これから作りたい作品の目的から逆算して、マッチしたソフトを選びましょう。

 

2. ソフトのクラス・価格

3DCGソフトは、エントリークラスからハイエンドクラスまで、さまざまなソフトが販売されています。初心者の方は、まずはエントリークラスのソフトで使い方に慣れましょう。エントリークラスのソフトであれば、2万円程度から購入することができます。

趣味の範囲であれば、無料のものでもいいですし、プロを目指すのであれば早いうちからプロ仕様のソフトに慣れるというのもアリですね。

 

3. 体験版を使用した操作感

多くの3DCGソフトでは体験版を公開しています。

ある程度気になるソフトを絞ることができたら、体験版で操作感を試してみてください。まずは体験版を使ってから購入するものを選べば、失敗は少なく済みます。フリー版を使用するにしても、いずれにせよある程度のPCスペックを用意しておく必要はあるので、覚えておきましょう。

 

以下、おすすめの3DCGソフトを紹介します。

3DCG制作におすすめのソフト5選

Blender

まず、フリーウェアでおすすめの3DCGソフト「Blender」。

モデリングからレンダリング、アニメーションやゲームエンジンまで行える統合ソフトウェアです。

フリーウェアといっても、ハイエンドクラスのソフトにも劣らない操作性で、十分に本格的な製作に使えるレベルといえます。

 

3dsMax

初心者でもアニメーションを作りやすいと人気の「3ds Max」。

ある程度直感的に使うことができる上、チュートリアルがあるため初心者でも独学で扱いやすいでしょう。

3D制作にはMayaと3ds Maxどちらを学ぶべきか?ソフト選びの基準は?

 

Maya

ハリウッドなどの映画製作でも使われている3DCGソフト「Maya」。

VFXでは、特に支持を集めています。

ビジュアルエフェクトやゲーム開発などのツールセットで本格的な作品制作をすることが可能です。

AutodeskのMayaと3ds Maxの違いは?それぞれの特徴

 

ZBrush

映画やゲームの世界で幅広く使用されているプロフェッショナル向け3DCGソフトです。

フリー版はありませんが、レンダリング機能に強みと特徴を持っています。

Zbrushのレンダリング機能は優れもの?3DCG制作でのメリットは?

 

LightWave 2020

アニメーション制作やモデリングが直感的にできるのが特徴のソフト。フリー版はありませんが、学割があるので、学生の方におすすめしやすいソフトともいえるでしょう。

 

関連記事:3DCG作成におすすめの無料ソフト6選!作り方の手順などもわかりやすく紹介

3DCGデザイナー・クリエイターの仕事内容

3DCGクリエイターはCG制作に携わる人全般を指す広い言葉です。そして、制作の中でも「デザイン」領域に携わる人を3DCGデザイナーということが多いです。

しかし、CGクリエイターもCGデザイナーも明確な定義はなく、同じようなニュアンスで使われることが多い言葉でもあります。

仕事内容としては、前述したような①モデリングから⑨エフェクトまでを担当するのが仕事内容となります。

年収については会社によりけりですが、会社員の場合、まだまだ新人のジュニアクラスであれば300~400万ほど。プレイヤーとして自立したり、成果が出てきたりする人だと400~600万ほど。マネジメントに携わるようになると500~800万ほどが相場なのではないでしょうか。

フリーランスになったり、起業したりすると、この上限が大きく上がります。

ただし働く会社の業績状況や企業規模によってもこのあたりは大きく変動するでしょう。大手の方が基本的には給料がよかったり、待遇面がよかったりします。一方で仕事の領域が割れてしまうというのもあり、いろいろ幅広く学びたい!という方は小さめの制作会社に入ることもあります。

 

関連記事:未経験から3DCGデザイナーになるための方法

関連記事:3Dモデラー・CGモデラーとは?仕事内容や必要スキルなどを解説

3DCGデザイナー・クリエイターに必要な資格はある?

3DCGクリエイターになるための資格や試験は必要ありません。

しかし、3DCGクリエイターとして対外的に自分の技術を証明したり、技術習得を目的としたりした資格・試験は存在しています。特にフリーランスの方は名刺に肩書を加えることもできたり、箔を客観的につけられたりするきっかけになるので、受けてみるとよいでしょう。

  • CGクリエーター検定

  • CGエンジニア検定

の2つは、特に有名な検定です。すでに3DCGクリエイターとして働いている人も、これからCG業界に挑戦したい方もチェックしてみるとよいでしょう。

座学ものは意外と現場で働きながらだと学ぶ機会がないので、こういったきっかけを自分で作り、そこから強制的にインプットするというのも一つの手です。

「CGクリエイター検定」「CGエンジニア検定」の難易度と合格率

3DCGを学ぶためのおすすめ勉強法は?

独学で学ぶ

「学習したいけど、費用をおさえたい!」という方は独学を検討することが多いでしょう。3DCG学習のテキストや参考書を購入して、それをもとにコツコツとカリキュラムを進めるのが王道の独学パターンです。

独学のよいところは、やはり費用をおさえやすいのと、自分のペースで学習しやすいという点にあるでしょう。一方で、独学のデメリットとしては「学習が三日坊主になりがち」というもの。

せっかく高い参考書を買っても、良いPCを買っても、学習を辞めてしまったら意味がありません。せっかくクリエイターになりたい!と思っても、続かないとクリエイターにはなれません。

自分を律して、学習計画を立てて、しっかりと学習していけると人には良いですが、誘惑に弱い人には向いていません。

また、3DCGはテクニカルな作業が多いため、「これどうしたらいいんだろう?」という疑問点が大量に浮かんできます。自ら徹底的に調べて課題をクリアできる人ならいいですが、こういった努力が苦手だったり、もっと人に相談したりしながら進めたい!という方は独学はやめたほうがいいかもしれません。

専門学校・スクールに通う

続いて、専門学校やスクールに通うという方法です。

専門学校やスクールは、プロフェッショナルの講師に対面で教わることができるのが大きなメリット。わからないことがあったらすぐに質問できますし、キャリアの相談に乗ってくれたり、卒業後に専門学校からの求人で就職や転職もできたりするかもしれません。

また、一緒に学ぶ仲間ができることで、途中でリタイアするのも避けやすくなります。先々一緒に作品を作っていくような関係性が築けるかもしれません。

一方で、デメリットとしてはスクールに通う費用がかかるという点です。近所にスクールがない場合は、時間をかけて通学しなくてはなりませんし、場合によっては家を離れて通学用のアパートを借りるなどの費用もかかるかもしれません。

オンラインスクールで学ぶ

最後に紹介するのはオンラインスクールです。

専門学校と何が違うかというと、オンライン上で学習が完結するという点です。わざわざ通学するというコストがかかりません。オフラインの方が交流できてよい!という方もいるかもしれませんが、より効率的に、好きな時に好きな場所でしっかりと学習したい!という方にはオンラインスクールはおすすめです。

3DCGを学ぶならデジハリオンラインスクール

デジハリ・オンラインスクールでは、さまざまな3DCGに関する講座を提供しています。デジハリ・オンラインスクールの強みはなんといっても「学びやすさ」。

デジタルハリウッドは、1994年創業という、クリエイティブ業界では長い歴史を持つスクール母体があり、これまで多くのクリエイターを輩出してきました。オンラインスクールの教育カリキュラムも、これまでの大学での教育などで培ったエッセンスをふんだんに盛り込んでおり、最後まで継続学習しやすいような内容となっております。

また、オンラインスクールの強みである「好きな時間」「好きな場所」で学べるため、まとまった時間が取りにくい方や、地方在住で近くにスクールがない方でも安心して学べます。「これから3DCGデザイナー・クリエイターとしての一歩を踏み出したい」「背中を押してほしい」という方はぜひ、以下のリンクから講座ページを見てみてください。

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まとめ

本稿では、3DCGについての基礎知識や、3DCGのクリエイターとして働く上での年収や仕事内容などを解説してきました。3DCGは非常に奥深い領域ですが、今後ますます世の中的にも注目を集める仕事となっていくでしょう。

ぜひ、世の中を湧かせるような作品をつくってみてください!