トイストーリーのような大迫力のCG映画やファイナルファンタジーのような美しいグラフィックのゲームを見て、あなたも一度は3Dアニメーションを作ってみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
こちらの記事では、そもそも3Dアニメーションとはどのようなものなのか、3Dアニメーション作成の流れ、どのようなソフトを使用すればいいのかなどをまとめて解説していきます。
3Dアニメーションとは?
はじめに、3Dアニメーションとはどのようなものなのか解説します。
3Dアニメーションは、3次元空間に、キャラクターなどモデリング・レンダリングして、動きをプログラムによってつける手法のことを指します。
サザエさんやアンパンマン、初期のディズニーアニメのような平面的な2Dアニメーションと異なり、より現実世界の人や物の動きに近い臨場感のある映像表現ができるのが特徴です。
2Dは縦軸と横軸しか存在しませんが、3つ目の軸である「奥行き」があることでこの映像表現が可能となっているのです。
3Dアニメーションを作成する具体的な方法
それでは、実際に、初めて3Dアニメーションを作ってみたい方に向けて、作成の流れを紹介したいと思います。
こちらの記事でも解説しております。
オブジェクト?テクスチャ?3DCGアニメーションの制作手法を解説
3Dアニメーション用のソフトを用意する
まずは、3Dアニメーションを作る上では、アニメーション制作用のソフトが必要となります。有料のプロ仕様のものから無料ソフトまで、さまざまな種類がありますが、いきなり初心者が数十万する有料版を購入して、使わなくなってしまってももったいないので、まずはBlender、SketchUp、Meshmixerなどの無料ソフトからトライすることをオススメします。
具体的にどのようなソフトがあるのかについては後述しますね。
教本を用意する
3Dアニメーションを学んでいく上で、予算をかけたくないのであればまずは一冊、入門書を用意するのをオススメします。
基本的に教本の流れに沿って学習していくのがセオリーです。こちらの記事では3Dアニメーションソフトを使用するうえで共通する流れに沿って紹介します。
以下の記事では、有料の3DCGソフトの代表例であるMayaの書籍をまとめて紹介しています。
Mayaを独学で学びたい人におすすめの本5選。3DCGの学習に。
モデリングをする
まずは、物体の形を作っていく「モデリング」と呼ばれる作業からスタートします。
「ポリゴン」と呼ばれる三角形や四角形を組み合わせることで、立体を作っていき、パーツを作っていきます。ポリゴンが細かいほど、なめらかで複雑な立体が作れますが、初心者はカクカクのシンプルなモデルからスタートするとよいでしょう。
マテリアルによって質感を表現
続いて、モデリングしたものに質感をつけていく作業です。
モデルはそのままだと無機質ですが、色・光の反射/透過・テクスチャなどをコントロールすることで、任意の質感を表現し、リアリティが生まれていきます。
テクスチャによって模様を表現
テクスチャとは、画像に模様を表現する画像を貼り付けることです。
3Dの立体に2Dの画像を貼り付けることで、凸凹や光沢などを表現できるようになります。
リギングによって動きをつける
リギングとは、リグ(仕組み)を設定する作業のこと。例えば、指の1つ1つの関節に自然な手の動きを表現できるような仕組みを設定する作業を指します。
リグは、キャラクターを動かす場合、「スケルトン」という骨格を制作する必要があります。
3DCGソフトに元々入っている人型のリグを使用すれば、ある程度簡単にキャラクターにリグを設定できますが、それだけでは自然な動きをしてくれるとはいません。自然な動作のために調整する必要があるのです。
リガー(リギングアーティスト)ってどんな職業?年収や仕事内容を紹介
スキニング
リグを設定した指のスケルトンが動いたら、モデルの指も動くように紐づける必要があります。
このスケルトンを操作できるように関連づける作業はスキニングと呼ばれています。
スキニングの中には、スキニングによって動くようになったモデルの形が自然になるように調整する「ウェイト調整」も含まれます。
これらの工程をふまえて、照明やカメラワーク、エフェクトなどを調整をし、なめらかなアニメーションを作っていきます。
レンダリング
レンダリングとは、3Dデータのファイルや静止画を書き出すことです。3Dデータは、特にポリゴンが細かったり、使用する静止画データが重かったりすると、かなりの時間がかかってしまいます。
ですから、PCは容量の大きいハイスペックなものを使用するのがオススメですし、レンダリングを細かくすることで、こまめに修正をはさみながらプロジェクトを進行していくと大幅修正がないのでオススメです。
3Dアニメーション作成のコツ
これをやれば完璧な3Dアニメーションが作れる!というコツはありませんが、3Dアニメーションづくりをする上での大事なポイントをかんたんにまとめます。
まず雑でいいから作ってみる
3Dアニメーションをスタートしたての初心者は、その工程の多さや複雑さに心が折れてしまうという方も多いと思います。
だからこそ、まずはかんたんなものから、多少雑でもいいので、全体の工程やソフトの使用方法に慣れて、「最後までやってみること」が何よりの上達のポイントだと思います。
数をこなす中で、こだわるべきポイントが少しずつ見えてくるので、ブラッシュアップしていきましょう。
人の表情や動きを日常的に観察する
3Dアニメーションは、いかに現実世界と比較して違和感のない、まるで生きているかのような動きをつけられるかが鍵を握ります。
ピクサー作品などを見ていて、モンスターやおもちゃが現実世界の人間のように自然な表情や関節の動きをしていて驚いた方もいるのではないでしょうか。
キャラクターの微妙な表情や動きは、もっともアニメーション制作を進行する上で時間がかかる場所であり、視聴者のイメージを左右する場所と言っても過言ではありません。
だからこそ、人間の顔や身体の動きを日常的に意識的にウォッチするクセをつけて、作品づくりに反映できるようにしましょう。
スペックの高いPCと、自身にマッチしたソフトを選ぶ
3Dアニメーション制作は、さまざまなファイルを同時に使用しながら進行するため、処理速度が速く・容量のゆとりのあるPCを使用するのがオススメです。
ソフトについても、初心者の方はまずは無料ソフトからスタートするのがよいとは思いますが、常に新しいソフトが生まれてアップデートが進んでいます。アップデートが進むと、かゆいところに手が届く機能がいつの間にか生まれていたり、サクサク進行できるようになるための工夫が生まれていたりと、作業時間の削減や表現力の向上につながります。
だからこそ、常に情報収集をして、最新のソフト情報を仕入れておきましょう。
ハイレベルな作品に出会う/クリエイターをSNSでチェックする
3Dアニメーションの仕事はなかなか根気がいります。趣味で楽しむぶんには良いですが、もし仕事として働く場合は、常に納期とクオリティとの戦いです。
だからこそ、常に感性を磨くような、新しい映像作品をチェックしたり、SNSを通じてクリエイターの最新動向を見たりして、作品の裏側の情報収集やモチベーションアップにつなげるのが重要です。
SNSでつながることで、仕事につながることもあるかもしれません。
3Dアニメーションソフトの種類と選び方
続いて、3Dアニメーションソフトにはどのような種類があるのか、また、どのようにマッチしたものを選べばいいのかをまとめます。
統合型か特化型か
3Dアニメーションのモデリングからレンダリングまでのすべてのプロセスをひとつのソフトで完結させたいのであれば、「統合型」のソフトがオススメです。3DCGのスクールで紹介されるのもこちらですね。
一方で、「このジャンルの作品がつくりたい」「この機能に力を入れたい」という目的が明確な方は、「特化型」のソフトを選ぶのもよいでしょう。
たとえば
・直感的にモデリングができるソフト
・爆発や光の表現などエフェクトに強いソフト
・日本語サポートが強いソフト
・テクスチャの表現力の高いソフト
など、特徴はソフトによりけりです。
企業の3Dアニメーターは統合型と特化型を組み合わせて使用することが多いです。
有料か無料か
年間数十万円するプロ仕様のソフトから、無料で使用できるフリーソフトまでソフトの価格もさまざま。
まったくの初心者は一度、フリーソフトから入るのが失敗がなくオススメですが、本気で覚悟を決めて3Dアニメーターになりたい!という方は、Mayaや3ds maxのような本格的な有料ソフトにチャレンジしてみてもいいかもしれません。
3D制作にはMayaと3ds Maxどちらを学ぶべきか?ソフト選びの基準は?
3DCG作成におすすめの無料ソフト6選!CG作成初心者は必見
アニメーションを作成する際のおすすめソフト
それでは、いくつか代表的な3Dアニメーションソフトを紹介します。
【無料】Blender(ブレンダー)
無料で使える3DCG作成ソフトの決定版です。完全無料で使える3DCG作成ソフトで、一部のプロも使っていると言われています。
モデリング、アニメーション、レンダリングが可能で、Blenderのみでフル3DCG作品を作ることが可能です。アップデートも頻繁に行われており、提供側の熱心さが伺えます。
難点は、機能が多すぎて初心者には使いづらいことです。直感で使いこなせる人はまずいません。プロ向けのソフトよりも扱いが難しい部分があるため、かなりの勉強を必要とします。
使いこなせれば、コストパフォーマンスは最強の3DCG作成ソフトです。そのため、本気で3DCG作成に取り組みたい人は登竜門として挑戦してみるといいでしょう。
【有料】Maya(マヤ)
臨場感あふれる、リアルな映像表現を追究したい人にオススメなのがこちらのソフト。統合型として、ハリウッド映画など、世界中のあらゆる映像作品で使用されています。
日本国内でも3ds Maxと並んでメジャーなソフトです。
【有料】3ds Max
初心者でもアニメーションを作りやすいと人気の「3ds Max」。
直感的に使うことができる上、チュートリアルがあるため初心者でも扱いやすいでしょう。
3DCGソフトの種類は?おすすめの3DCGソフトと比較ポイント
まとめ
3Dアニメーションの世界は非常に奥深く、初心者も慣れるまではなかなか根気がいるでしょう。しかし、自分の作ったキャラクターが画面の中でいきいきと動き回り、視聴者の心を動かすという仕事は非常にエキサイティングです。
趣味からでも始められますし、興味のある方はぜひとも3Dアニメーションにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。