広告の中で存在感を増しているのが、インターネット広告です。インターネット広告費は1996年には16億円に過ぎませんでした。しかし、2009年には7,069億円に達して新聞の広告費を抜き、テレビに次ぐ広告メディアへと成長しており、その成長は今もとどまるところを知りません。
今回は2015年の日本の広告費、特にインターネット広告費について考えてみます。
日本の広告費の現状
まず、電通が発表する「日本の広告費」をもとに日本の広告費の概要を見てみましょう。
2015年の総広告費(テレビや新聞などのマスコミ、インターネット、プロモーションメディアの広告費)は6兆1,710億円、前年比100.3%でした。
2012年から4年連続でプラス成長となりましたが、成長をけん引したのがインターネット広告費です。
インターネット広告費は2015年に1兆1,594億円(前年比110.2%)に達し、右肩上がりの成長を見せています(2012年8,680億円、2013年9,381億円、2014年10,519億円)。
インターネットが伸長する一方、マスコミは広告費減少の傾向にあります。2015年の新聞広告費は5,679 億円(前年比 93.8%)、雑誌広告費は2,443 億円(前年比 97.7%)、ラジオ広告費は1,254 億円(前年比 98.6%)、テレビ広告費は1 兆 9,323 億円(前年比 98.8%)でした。
成長著しいスマートフォン広告市場
インターネットはビジネス・プライベートともに重要なコミュニケーションツールとなっており、インターネット広告を出したいと広告主が考えるのは当然のことです。
スマートフォンの登場により、インターネットはより身近な存在になっています。持ち運びに便利なスマートフォンを使って、隙間時間にニュースをチェックしたり、オンラインショッピングをしたりする人も少なくありません。
総務省の「平成 26 年通信利用動向調査」によると、スマートフォンからインターネットにアクセスするユーザーは、2014年は47.1%(自宅のPCからは53.5%)に上ります。注目したいポイントは、30代以下のスマートフォンからのアクセスが多いことです。
2014年のスマートフォンからのアクセスは、13~19歳で71.3%(自宅のPCからは63.3%)、20~29歳で87.5%(67.3%)、30~39歳で78.0%(65.4%)と、自宅のPCよりもスマートフォンからアクセスするユーザーが多い傾向にあります。
このようなスマートフォン利用者の増加を背景にして、スマートフォン広告市場の拡大は目覚ましいものがあります。
サイバーエージェントの子会社CyberZがシード・プランニングと共同で実施した「2015年スマートフォン広告市場動向調査」によると、2014年のスマートフォン広告市場規模は3,008億円(前年比162%)、2015年は3,903億円(前年比129%、ただし予測値)と右肩上がりで増えています。
表現できる幅が広いインターネット広告
インターネット広告の特筆すべき点は、表現できる幅が広いことです。テキストや画像、動画でユーザーの購買意欲を刺激することができます。テキストや画像を表示する広告を「バナー広告」、動画を表示する広告を「動画広告」と呼びます。
ブロードバンド回線の普及などにより、最近では動画広告が増加しています。動画コンテンツを視聴してもらうことにより、ユーザーの記憶に残りやすい点が特徴です。
動画広告には、動画共有サイトで動画再生の前後に広告動画を流す「インストリーム型」とサイトの広告枠に広告動画を流す「ディスプレイ型」の2種類があります。
まとめ
みんなが同じものを買い求め、消費するという時代は過去のものとなっています。不特定多数のユーザーにアプローチするよりも、特定ユーザーの購買意欲を高めることの方が効率的です。
インターネット広告には、広告を配信するターゲットを絞り込むターゲティングが容易であるという強みがあります。「個の時代」といわれるこれからの時代、インターネット広告はさらなる飛躍を遂げることでしょう。